大唐西市博物館館長の王彬氏(魏堯撮影)
遺跡の保護
西市遺跡は1950年代と60年代に2度、考古学調査が行われている。当時は技術的な限界から、開発や再建はなされず、詳細な考古学研究も行われなかった。
直近の調査は06年。中国社会科学院考古研究所の考古学者・安家瑶氏が専門家グループを率いて実施。この調査は大唐西市文化産業投資有限公司が要請したもので、3カ月間で貴重な唐代の文化財が大量に出土した。
遺跡の考古学上の重要な意義を考慮し、同公司は出土文化財の展示や保護、さらに遺跡をより良く保存しようと、3億2000万元かけて遺跡保護博物館を建設することを決断。
民間資本が遺跡関連の博物館を建設したのはこれが初めて。企業の強い社会的責任が感じられる。歴史遺跡の保存はこれまで政府機関に委ねられていた。また経済的な回収がなかなかできないため、投資しようとする企業はほとんどなかった。
博物館の全称は大唐西市博物館。敷地面積15畝。同公司は考古学の専門家に文化財の保護や展示、関連する研究、博物館の運営への監督・指導を依頼した。
「私たちの博物館の文化財保護の仕事は国の文化財保護の基準に完全にかなっています。文化財をさらに良く保護するため、特別に考古学の専門家を招聘しました」。大唐西市博物館館長で、陝西歴史博物館前副館長の王彬氏はこう強調する。
造詣の深い歴史学者の王氏は「収蔵品は合計2万点余り。大半は西市遺跡から出土したもので、すでに政府の文化財部門が登録し、国家クラスの保護文化財に指定されました。博物館はこうした文化財を市民のために展示する責任も負っています」と説明。
大唐西市博物館内で陳列されているラクダに乗った唐代の外国商人 (魏堯撮影)
また博物館は収蔵家の作品を展示したり、西安を紹介する民間芸術の特別展を開いたりしている。西安という古都の歴史や古今を通じた人文学的、社会学的様子がそこから理解できる。
10年4月7日の正式オープン以来、博物館は高い関心を集め、来館者は1日延べ1800人に上る。
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