庶民の大多数が満足
11年の財政投入は庶民の大多数が支持している。「生活はもっと良くなるだろう」。北京市民の張紅宇さんはこう話す。彼が最も認めるのが、政府保障型住宅の建設だ。いま住んでいるのは5、60年代に建てられた「筒子楼」、言えば長屋。トイレも台所も共同で非常に不便。保障型住宅への支出が増えれば、最低生活保障の対象である張さんの居住条件が改善されるチャンスも増える。
王衛国さんにとって最大の関心事は教育への支出だ。彼は山西省から北京に来た労働者。戸籍が北京でないため、9歳の息子は学校に入るのにかなりの「賛助費」を払わざるを得ず、また進学する際には不公平な「待遇」を受ける。
財政部の「教育への投資を拡大するとともに、都市部で働く農民労働者子弟の義務教育問題の解決に努力する」という言葉に、王さんは大きな期待を寄せる。「息子が北京の生徒と同じ待遇を受けられればいい」
一貫して、中国経済の成長に投資と輸出への過度の依存という特徴が見られるのは、その最も主要な原因は、長年にわたり内需が著しく不足していたからだ。内需不足は住民収入がどれほどかといった問題ばかりでなく、社会保障の問題でもある。中国人の預貯金が多いのは、お金を使いたくないからでなく、今後の緊急の必要に備えるためだ。歳出が民生に傾斜されることで、幅広い低収入層の診療、住宅、就学の心配が緩和されれば、お金を貯めるのは老後あるいは病気のためといった社会的心理はなくなり、内需はかなり増大するだろう。
近年、政府は民生への歳出規模を拡大してきたが、これは住民がますます必要とする公共サービス面で一定の役割を果たした。とはいえ、住民の満足にはまだほど遠い。
北京師範大学経済学部の賀力平教授は「民生への歳出を持続的に増やすことを中央財政政策の目標にすべきだ」強調する。
「北京週報日本語版」2011年3月18日 |