本誌記者 繆暁陽
温家宝総理は今年の政府活動報告で、文化産業を大いに発展させ、新型文化業態を育成し、文化産業が国民経済支柱産業となるよう後押しすべきだとの指摘を行った。3月7日、どのようにして中国文化のソフトパワーを高め、中国文化の国際的影響力を強化するかについて、本誌記者は全国政治協商委員で、中国工芸美術学会副理事長、中国芸術研究院芸術創作研究センター主任の朱楽耕氏を取材した。朱氏は中国陶磁芸術の大家である。
3月7日、北京で本誌記者の取材を受ける朱楽耕氏
芸術の自主革新と民族ブランド確立
今年の両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)期間中に朱楽耕氏が注目したのは、「芸術の自主革新を提唱し、中国の文化的価値観を広める」というものだった。
朱氏は、「本当の意味での大国は経済、文化ともに強く盛んでなければならない。『十二五』(第12次五カ年計画)期間に、『中国制造(made in China)』から『中国創造(created in China)』へと変えていくためには、科学技術の革新だけでなく芸術デザインの革新も必要だ」と語る。
朱氏は次のように提案している。中国は「世界の工場」にとどまらず、自主革新を行って優秀な民族ブランドを生み出さなければならない。国は中小ブランドに注目し、発展の見込みのある中小ブランドが大きく成長できるよう扶助するべきだ。「ブランドデザインでは、伝統文化や伝統産業からインスピレーションを得ると同時に、若いデザイナーがもっと参画できるよう奨励するべきだ。また、日本の経験も参考にできる。日本は70年代に多くの著名な海外デザイナーに国内ブランドデザインに参画してもらい、その製品をすばやく国際市場へと進出させた」。
文化の創造性の保護について朱氏は、優れたブランドデザインを作り上げた後、知的財産権の保護を強化し、偽造品や粗悪品を取り締まって初めてよりうまく革新を奨励することができる、との考えを示した。
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