計画経済から近代的な企業体制へと転換した中央(国有)企業にとって、「国際競争力が一流」との目標に向かってまい進する過程において、解決し改善すべき問題はまだ多い。
本誌記者 蘭辛珍
「今後5年で中国は中央企業を強く優れた企業にし、国際競争力を備えた世界一流の企業に育て上げなければならない」。2月22日に国務院新聞弁公室が行った記者会見で、国有資産監督管理委員会(国資委)の邵寧副主任はこう強調した。
邵副主任によれば、今回の発展目標の転換は、中央企業の地位と役割に基づき、国全体の発展戦略に立って打ち出されたという。
中央企業は中国の経済社会の発展において重要な役割を担っている。青海・チベット鉄道や三峡工事、「西電東送」(西部から東部への送電)、「西気東輸」(西部から東部への天然ガス輸送)、「南水北調」(南部から北部への送水)といった重要プロジェクトはいずれも中央企業が請け負っている。一部の企業は実力がすでに世界一流のレベルに達しており、国際市場の競争にも参与。2010年の米誌『フォーチュン』が発表した世界ベスト500社に名を連ねた中央企業は30社、中国石油化工(シノペック)と国家電力ネット中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)はベスト10入りを果たした。
中央企業は中国の経済社会の発展において重要な役割を担っている。東風汽車公司十堰工場の大型トラック生産ライン (郝同前撮影)
中国経済の大黒柱
03年に国資委が設立されたとき、中央企業は196社、その後の再編を経て現在は121社を数える。各業界に及び、多くの企業が業界の中で独占的な地位を占めている。
国資委のデータによると、中央企業の10年の資産は24兆3000億元にのぼり、経済総量の60%超。06~10年の5年間に納めた税金は5兆元に達した。
中央企業は社会保障基金の主要な財源でもあり、09年末現在、基金に組み込まれた中央企業株の譲渡所得は1561億2600万元と、基金の財政収入全体の41%を占めた。
中央政府はこの2年の間に中央企業に対し、自主革新能力を強化するよう新たに要請。邵副主任によると、中国内のすべて企業のうち、中央企業の科学技術の研究開発と自主革新能力がいずれも著しく向上した。06~09年の科学技術への経費投入の伸び率は年平均28.5%、営業収入に占める割合は2.1%だ。なかでも軍事工業は5.36%に達している。
09年末現在、中央企業が所有する特許は累計7万6138件を数え、そのうち発明特許が2万1266件にのぼった。中国の国家重点実験室はその46.2%が中央企業内に開設されている。世界最速の「動車組」(高速鉄道)、初の超高圧モデルプロジェクト、初の石炭直接液化モデルプロジェクトなどはいずれも中央企業が研究開発し、製造したものだ。
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