社会資本の投入を奨励する
水利整備の財源について「決定」は、財政資金を大幅に増やすと同時に、各政府に水利整備のための投融資の窓口を開設するよう要請する、としている。陳部長は「この窓口は、主に利子補てんや援助、補助などを通して、市場メカニズムを十分に利用し、各種の信用貸出(少額融資)を合理的に活用することで、農民の投資による水利施設建設への積極性を引き出すためのものだ」と指摘。
長沙湘江の観光用船着場。干上がって固まった土砂
一部の都市への給水、水力発電など、一定の水道料や電気使用料のある水利プロジェクトについて、陳部長は「市場メカニズム、例えば株式協力制度やBOTといった方式で建設することも可能だ」と強調した。
冬季と春季は、中国では農地の水利整備の時期となる。陳部長は、農民の資金・労働力投入による施設建設への積極性をできるだけ引き出す必要があると強調。そのうえで陳部長は、「決定」で規定されている土地の譲渡益から毎年取り出す10%は農地の水利整備に充てることにしており、これはこの文書の中で最も重みのある政策であり、毎年の土地譲渡益の総額に基づけば、10%、600億‐800億元が整備に利用されることになる。
水利整備ではまた外資の利用も奨励する。淮河治水の新プロジェクトでは、一部が世界銀行からの融資で進められている。陳部長は「今後の水利整備では、引き続き外資の合理的な利用を高めていく」との方針を示した。
だが、政府が提起した社会資金を幅広く吸収して水利整備に投入する政策に、業界関係者は社会資本が冷淡にならないか懸念する。「水利整備は公益プロジェクトであり、水力発電を除けば大半の水利基盤施設は利益を上げられず、民間からの投資を吸収するのは非常に難しい」。中信建設証券公司の農林・水利専門のアナリストである瀋剣氏はこう指摘する。
「北京週報日本語版」2011年2月21日
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