中日双方が釣魚島の主権は自らにあるとする強硬な立場を堅持し、どちらの国にも交渉や協議をしようとする明確な意志がないとは言え、膠着した状態のまま、危機的事件が頻発するのに任せていたのでは、結局のところ損なわれるのは中日両国の共同利益と地域の平和・安定である。もし考え方を広げ、慎重に方策を練り、釣魚島問題の解決に役立つと思われる道筋や方法をいくつか検討するのであれば、それは積極的思考であり、成果ある努力をしたことになる。
9日、日本・石垣港に停泊する中国の漁船「閩晋漁5179」号の甲板で、記者と交流する乗組員 (季春鵬撮影)
釣魚島問題を中日間の東海外交交渉の日程に組み込み、交渉のテーブルに乗せることができれば、まず第一に、日本側が一方的に措置を講じて釣魚島への実際的支配を強めないよう制約することになり、釣魚島問題解決のための雰囲気や環境が作られる。次に、突発事件が頻発して中日関係の大局を揺るがす事態や、中日両国の国民感情的悪循環を避けることができる。第三に、「事後処理」的な後手に回った危機処理方式を変え、事前に検討して対策を作り、「予防外交」を展開することもできる。
釣魚島問題について中日間で交渉が行えるのであれば、まずは漁業協定を結んで、中国の漁民が先祖代代漁業を行ってきた伝統的な漁場で安全に作業できるよう保証することはできないだろうか。次に、揉め事が起こった場合、どちらの国も国内法に照らして一方的に処理をしてはならず、ただちに関連部門で二カ国間協議を行い、適切に解決するという合意を結ぶことはできないか。第三に、双方の海上執行部門が協力して、合同で海上救助や海上違法活動の取締りを展開することはできないだろうか。
もちろん、釣魚島問題について二カ国間交渉を行う必要があるかどうかは、現時点ではまだ純粋に技術的、戦略的な角度から打ち出した構想で、可能性を探っているにすぎない。しかし、情勢が緊張した今は、釣魚島には主権係争があり、紛争やさらに深刻な危機の発生を避けるためには交渉が必要だということを双方も認めざるを得ない。
だが、交渉を行うことと双方が現在堅持する立場は完全に一致するか?両国政府は交渉の意向があるのか?両国の国民は釣魚島問題について交渉を行うことに同意し、受け入れるだろうか?さらに重要なのは、「主権は我が方にある」という原則について交渉が成り立つのかということだ。どの問題も、深く掘り下げて考えないわけにはいかない。国の核心利益に触れる問題においては、私たち一人一人が深く考える責任、義務、権利を放棄することはできないのだ。
「北京週報日本語版」2010年9月20日
|