新世代農民工の望み――新しい身分
「新世代農民工は、教育レベルが前の世代の農民工より高く、考え方も活発で、恐れずに思い切って事をやり、今働いている都市に定着していきたいという願いが強い」と全人代代表で、浙江省寧波維科精華家紡有限公司製品分工場の従業員の楊暁霞さんは言う。
1981年生まれの楊暁霞さんは、江西省の農村から浙江省寧波市へ出稼ぎに来て、もう10数年になった。優秀な勤務態度によって07年に寧波市の戸籍を取得し、正式な市民となった。
だが、都市の戸籍を取得できる人はさすがに少ない。現在、農民工をと親しくつきあわず、思いやりを持って接しないのは市民だけでなく、政府部門の責任者も同様だ。農業部の韓長賦部長は「都市部住民は、都市文明と都市文化をもって農民工を同化させるべきであり、彼らを排斥してはならない。都市部における“2元構造”を作ってはならず、一部の国の現代化した大都市の周辺に現れた“スラム街”のような現象を防止しなければならない」と指摘した。
「新世代農民工に都市に溶け込ませるには、戸籍制度を改革し、彼らに都市戸籍取得の機会を提供するほか、仕事や社会保障など面で都市部住民と同じような待遇を享受させ、都市の経済、政治、社会などの面での活動に参加する機会を与えるべきだ」と楊暁霞さんは見ている。
楊暁霞さんの紹介によると、寧波市はすでに他地域からの就労者の都市戸籍取得に向けてポイント制を実行し始めた。都市戸籍取得条件としては、現在雇用されている同市の事業体での勤務キャリアと社会保険の加入が満5年になり、身体が健康で、年齢が45歳以下であるなどだ。150点満点で、100点を上回れば都市戸籍取得申請の資格が得られる。昨年11月に行なわれた審査で、2500人の申請者のうち、10人が100点に達した。現在の審査制度が非常に厳格なので、普通の農民工にとって、技術特許とか、高等技術職称といった点数を稼ぐ条件が整わないと、都市戸籍取得はなかなか難しいことだ。だが、都市戸籍取得条件を点数化するやり方は、何と言っても有益な試みだと言える。
「国は寧波の都市戸籍取得制度を参考にして、より多くの農民工が都市の一員になり、彼らが生活の目標があるようにしてほしい」と楊暁霞さんは言う。
新世代農民工の求めるもの――新たな発展
「回りの仲間たちは働きながら勉強することを望んでいる。誰もがいつまでも現場労働者にとどまることを望まず、昇進する機会と将来性のある仕事が欲しいと思っている」と楊暁霞さんは言う。
新世代農民工は前の世代が従事したような仕事と所得に満足しなくなり、「三高一低」(教育レベルが高く、職業への期待感が高く、物質的精神的享受への求めが高いが、仕事の苦労に耐える力が低い)の特徴があるとされている。その多くは、専門知識や技術を身につけておらず、工業生産や現代化したサービス業についての知識はほとんど知らず、非農産業の従業員の基準からかなりの開きがある。
また、前の世代の農民工のように都市部で3K(きつい、きたない、きけん)の仕事をする気もないが、複雑な技術関連の仕事を担当する能力も持っていないため、適当な就職口を探すのが難しい。だから、運送業や建築業、加工業などで力仕事をしたり、低いレベルのサービス業などの労働集約型業種と低所得業種で働くほかない。それに、頻繁に職を変えることで、業種や仕事についての理解が浅く、技能レベルも見習い段階にとどまるに過ぎない。そのため、都市部に溶け込み、体面を保てる生活を送ることが容易ではない。
全人代代表で、青島港集団有限公司董事(理事)局の主席で総裁の常徳伝氏は「調査が示しているように、前の世代と比べて、新世代農民工は個人の奮闘をより重視し、物質的必要と精神的追求を同じような重要な位置に置き、再教育への渇望もいっそう強烈だ」と語った。
常徳伝氏の調べによると、新世代農民工が最も勉強したい知識は、仕事と関連があるコンピューターや経営管理にかかわるものだ。こうした知識は理想的な仕事を探し当て、明るい未来を作るにはプラスとなると思われるからだ。そこで、常徳伝氏は次のように提言した。「新世代農民工に対するトレーニングを盛んに行い、労働組合が設立した大学の役割を十分に発揮し、企業が法律に基づいて従業員のトレーニング経費を徴収することに協力し、それを監督し、従業員の在職教育を展開する。また、企業と都市の発展に適応するため、在職教育では新世代農民工を優先させ、計画的かつ段階を追って彼らの教育レベルと技術レベルを高める。それから、農民工の人数が一定の規模に達した地区では、労働組合は新世代農民工向けの学校を設立する必要がある」。
新世代農民工にとって、所在する都市に定着しようとすれば、まだ多くの問題を解決しなければならない。年齢とともに、婚姻や子供の教育、老後生活などの難問が続々と出てくる。政府をはじめ、社会全体が彼らにより多くの関心を寄せ、支持していくべきであろう。
「北京週報日本語版」2010年3月26日
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