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対台湾武器売却と中米関係

金燦栄(中国人民大学国際関係学院教授)

董春嶺(中国人民大学国際関係学院修士課程学生)

 

新年早々の1月6日深夜、米国防省は「米国は台湾への武器売却計画を再度スタートし、10億ドル近くの新型パトリオット(PAC3)ミサイルシステムを主とする武器装備を台湾に売却する」と発表した。中国政府は3日間で計5回にわたって厳正な申し入れを行い、これまで以上に猛反発を見せた。

オバマ米大統領の訪中がもたらした中米関係の「蜜月期」は2カ月に満たないうちに終わり、中米関係にはこの事件で暗雲がかかっている。昨年末、「台湾への武器売却」、「オバマ米大統領とダライ・ラマとの会見」、「中米貿易摩擦」といった3つの問題の影響を受けて、内外の世論は2010年の中米関係が冷めていくことを懸念していたが、この懸念は現実になった。台湾への武器売却における米国の戦略的意図は何か、中国政府はなぜ今回の武器売却に強い反発を見せたのか、目下の中米関係をどう見るのか、これらの問題は中国の平和的発展の大局に関わるだけでなく、金融危機下の国際政治、世界の経済発展に重要な影響をもたらすだろう。

対台湾武器売却におけるオバマ政権の意図は?

米政府は、「今回の対台湾武器売却はブッシュ前政権が08年10月に発表した対台湾武器売却計画の一部だ」と公言し、「台湾が提出した武器売却リストの中で、PAC3システムは防御的性格をもつ武器であり、台湾への武器売却は米国が「台湾関係法」に定める義務を履行することだ」と再三強調している。

台湾への武器売却で経済収益を獲得することが直接的な理由だ。台湾からの巨額の注文書は金融危機下の米国にとってかなり誘惑力があるものだ。ところが、危機に陥った米国は中国の助けを受けて難関を乗り越えることをより望んでいる。比べてみると、武器売却による経済収益は微々たるものだと思われる。

実際のところ、米国の政治的目的は経済的目的より大きい。台湾への武器売却は米国が台湾を独立した政治実体と見なしていることの印であり、台湾当局との軍事関係を発展させ、中国の内政に属する台湾問題に干渉するための最も主要な手段である。台湾海峡両岸の軍事バランスを保つことは米国が台湾に武器を売却するための口実となっている。「台湾は統一しない、独立しない」を確保し、台湾島内の政治と両岸関係に関与する能力を保ち、台湾を中国の発展を長期的にけん制するための地政学のカードとすることこそが、米国の戦略的意図だ。

昨年、台湾海峡両岸の関係が緩和され、両岸の交流と協力も勢いよく発展した。このような局面に直面して、米国は台湾への実際的影響力が相対的に下がったと感じ、「部外者にされる」ことまで懸念し始めている。これを背景にした台湾への武器売却は台湾に対する米国の政治的影響力を強め、両岸の平和的統一のプロセスを妨害できるだけでなく、台湾を米国の主導による東アジア地域ミサイル防御システムに組み入れ、「台湾による中国けん制」という目的を達成することもできる。

米国の内政から見れば、オバマ大統領は米国内政における地位が下がったことにつれて、中米関係の安定を守る能力も下がってきている。

今回の米国の行為からわれわれは、中米関係は複雑性をもち、双方には協力の面もあれば、対立の面もあることを見て取ることができる。同時に、米国の対中政策は二面性をもつものだ。米国は一部の分野で中国との協力を積極的に求める一方、人権、台湾問題、武器輸出、貿易などの分野で自国の利益を図るために、中国をけん制する策略を取っている。今回の武器売却は実際にはオバマ政権が行った政治的投機の現われであり、中国に対する戦略的打診でもあった。

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