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◇まほらまの南京生活⑩◇~文化交流の民間大使~
(~ウェンナン先生行状記~)

 

◇平山郁夫さんの理念◇

 今年12月2日、日本画家で前日中友好協会会長だった平山郁夫さんが79歳で亡くなった。平山さんは14年前、日中両国の人々が心に負った傷の修復を願い、「城壁文化財の修復を通して心の傷を癒そう」と提唱し、日中共同で南京城壁の修復工事が行われることになった。その開幕式が1995年南京の玄武門城壁の上で行われ、日本から小中学生や修学旅行の高校生、年配者ら2万人あまりがこの事業に参加した。私も新聞記者として開幕式に出席し、小学生たちが一輪車を使ってレンガ運びに汗を流したことなどを取材した。

 2005年9月には、修復工事の10周年を記念して同じ場所で式典が行われた。私も南京に滞在していたので、日本からやって来た昔の仲間と一緒に式典に参加した。

 「さわやかな秋空の下で、私はいま、ちょうど10年前、この城壁で、南京城壁修復の日中共同事業の開始を高らかに宣言した日のことを思い起こし、深い感慨をおぼえます」と、平山さんは挨拶を始めた。夏の日差しが暑い日だった。

 そのころは、小泉純一郎元総理の靖国神社参拝などで、日中関係は完全に冷え切っていた。挨拶の中で平山さんは、「両国首脳の相互訪問が、4年間も行われていないという事態はまことに不正常です」と不満を述べ、「肝心なのは、言葉と行動を一致させ、近隣諸国の理解と信頼を得ることです」と注文を付けた。小泉元総理は当時、中国や韓国から靖国神社に参拝しないよう要請されると、「適切に処理します」と答えておきながら、その直後、参拝を繰り返していた。心に受けた傷口に塩をぬるような行動に対して平山さんは憂慮していたのだ。

 「2000年にわたる東アジアの歴史にしっかりと根ざした歴史認識を持つならば、将来への明るい展望が期待できると思います。ヨーロッパでは、一足先にこの問題を乗り越えて、EU共同体に向かいつつあります。日本も、中国をはじめアジア諸国と手を携え、明るい世界を、目指して歩んでいくことを願っています」と平山さんは語り、「日中両国による南京城壁修復の理念を、日中友好運動の原点にしたい」と結んだ。

 南京城壁修復の開幕式も10周年記念式典も、日本のメディアはあまり大きく扱わなかった。政治、経済の動向は比較的注目されるが、文化交流が地味な扱いになるのはいつも残念に思う。14年前、城壁は砲撃や風化で荒れ果てていた。今ではすっかり修復され、見事に整然とレンガが積み上げら往時の姿が蘇った。私は城壁を見るたび、このレンガのうちの一つは、修復する時私も運んだものなのだ、と心の片隅で誇らしく思っている。城壁は今後、数100年あるいは1000年以上も健在だろう。文化交流はそれほど目立たなくとも、実に長く生き続けるものだと思う。

◇漢詩の中国語読みと訓読法◇

日中間で1000年以上も共有する文化の一つに漢詩がある。共通する漢字を使っているので、日本人にも読むことができる。ただし発音は日本語読みで、順番も日本語になるように並べ変えなければならない。いわゆる読み下し文の訓読法で、長い間中国の漢詩を味わってきたのである。しかし、本来は中国語を外国語として学び、中国人と同じ読み方で漢詩を味わうことが必要だと思う。江戸中期の儒学者で柳沢吉保や徳川吉宗に重用された荻生徂徠(おぎゅう・そらい)は、自分でも当時の中国語通訳役人から中国語を学び、漢詩を現地音で読むべきだと主張したという。

徂徠の主張は多くの人に受け入れられず、現在でも訓読法が中心となっている。漢詩を中国語で読み味わうことが普及していれば、日中間の意思疎通がもっとスムーズになり、日中戦争もあるいは回避されたのではないかと思う。

一方で、日本語を学ぶ中国の学生も、自国の漢詩を日本人に説明できるよう訓読で読めるようになれば素晴らしいと思う。私が担当している学生は、日本語のレベルはかなり高い。日本の古典文学なども幅広く勉強をしている。しかし、漢詩を訓読で読める人は一人もいない。漢詩は中国の作品なのだから、日本語読みにする必要はない、という考えが強いのかもしれない。徂徠の主張が広まらず日本人独特の読み方が普及している以上、日本語の学習と同時に訓読法も学習してほしいと思う。

 日本人が漢詩を中国語で朗読し、中国人が訓読で読む。そこに文化の交流が生まれ、相互の文化に対する理解が深まるのではないかと思うからである。

 

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