中国政府の努力
熊焔理事長は、省エネと排出削減、気候変動対策は依然として中国の発展計画の重要な内容となると見ている。
中国政府は1980年代後期から、資源とエネルギー消費の減少、クリーン生産の促進、工業汚染対策を産業政策の重要な構成部分としてきた。07年には「国の気候変動対策」を発表、実施し、発改委はまた「省エネ・排出削減の総合活動案」を打ち出した。
今年8月の全国人民代表大会常務委員会では、積極的な気候変動対策を持続可能な発展実現の長期的な課題として立法活動のプロセスに盛り込むとの決議が採択された。近い将来には、気候変動対策についての法律が制定される可能性もある。
中国の省エネ・排出削減は現在ある程度の進展を見せたが、情勢は依然として厳しいものであり、今後の目標達成には大きな努力を払わなくてはならない。長い目で見れば、エネルギー消費は増えていく。短期的には、内需拡大に伴って高エネルギー消費と大量排出の業種も一定の伸び率で増えていく。それに、中国はまだ国内外の工業化と都市化の段階にあり、そのプロセスと中国の産業構造の特徴も、エネルギーに対するニーズと消費が増える一方になることを意味している。
こうした情勢の中で、中国科学技術部の万鋼部長は11月12日に開催された「省エネ・排出削減と世界的な気候変動対策」をテーマとするハイレベル・フォーラムで次のように述べた。「科学技術は省エネや排出削減、気候変動対策で引き続き重要な役割を果たすことになる」。
「中国政府は科学技術による省エネ・排出削減の推進について綿密な配置を行った。科学技術部は関連のある部門とともに、気候変動対策としての国家科学技術発展計画(2011年~2015年)の作成に取り掛かった。この計画は、『科学技術による気候変動対策の短期、中期、長期目標を打ち出し、各部門、各地区、各機関が気候変動対策をめぐって繰り広げる科学技術活動を統一的に手配し、指導する』というものになる」。
また、科学技術部はイノベーションへの投入を増やし、産業のモデルチェンジに必要なカギとなる技術の突破に力を入れ、企業の省エネ・排出削減の技術レベルを高め、省エネの新しい技術や方法、設備、材料の開発と普及を加速し、再生可能なエネルギー技術、クリーン石炭利用技術、原子力技術などを開発することになる。
省エネ・排出削減の目標達成を確保するため、数多くの大手企業は設備のアップグレードと技術改良を進めて行った。
発改委は高消費と大量排出の小型製鉄所やセメント工場、発電所、炭鉱数万社を強制的に閉鎖し、その資産は数百億元に及び、このために失業した労働者は数十万人にも達している。
金融危機と気候変動は、中国が構造を調整し、発展パターンとライフスタイルを転換する上でのよいチャンスとなっている。「われわれは省エネのエコ産業の発展を速め、新型の戦略的産業を鋭意に育成し、低炭素経済を発展させる必要がある」と解振華副主任は言う。
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