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◇まほらまの南京生活⑨◇~日本で学生を追憶~

 

◇新鮮な日本留学の感覚◇

日本留学の学生からのメールは、初めて日本を体験する新鮮な感覚が、こちらにも伝わってくる。温泉や料理、初雪など珍しく、楽しく、そして勉強の忙しさにも耐えているようだ。

『イノシシのお肉も食べました』

『私はこの9月、ゼミの合宿で長野県に行ってきました。勉強しながら、日本の美しい景色とおいしい料理を楽しむことができました。泊まった旅館は山の上の森の中でした。名古屋はまだ暑いのに、そこは気温が20何度しかない涼しい秋でした。美しい白樺湖を回り、日本の景色の美しさに大変感動しました。先生にも楽しんでいただければと思って、写真を添付しました。

帰り道で諏訪大社という神社で、みんなが無事に帰ることができることを祈りました。初めての神社参拝でした。……旅館には温泉のお風呂があり、「ほうとう(面の料理)」っていう料理が本当においしかったんです。イノシシのお肉も食べました。生まれて初めてこんな強いもののお肉を食べました。意外においしかったです。』

『毎日予習、復習に追われて……』

『先生 ご無沙汰しております。札幌は先週、初雪が降りました。今週は少し天気が回復したようですが、札幌の天気は当てにできないので、また急に寒くなるかもしれません。気候と食事以外、こちらの生活はもう慣れました。

授業は週に六コマあって、毎日予習や復習に追われて、全然楽ではありません。札幌に来て、まだ学校以外どこにも行っていません。……

さて、写真を送ります。北海道はなんといっても風景がきれいです。これからゼミの準備をしないといけないので、この辺にしておきます。南京もそろそろ寒くなるでしょうから、先生もお体に気をつけてください。』

◇年末や春節には“現役”の学生からも◇

3、4年生の“現役”の学生も、年末や春節など一年間の節目のときには、年間の総括、これからの自分の進む道などについてメールで訴えてくる。

『私も“悔いなし”と言いたい』

『将来に対して時々不安を感じますが、勇気を出して生きていきたいです。先生は、35年間記者の仕事をなさって「悔いなし」とおっしゃったのを今でもはっきりと覚えています。やはり自分のしていることに価値を見つけたのでしょう。「悔いなし」ということを言える人は、そんなに多くないと思います。自分の好きなことをずっとしてきた先生のように、私も自分なりに「価値」を探しています。生き甲斐を探しています。「悔いなし」と言いたいのです。』

この学生と初めての授業で自己紹介をした際、「日本で35年間の新聞記者生活は、非常に楽しく、悔いはない。生まれ変わってもまた、新聞記者になりたい」と話したことを記憶していてくれた。自分の生きざまを紹介したのだが、若い学生が自分の人生の生き甲斐にまで発展させて考えてくれたことは、予想以上でとても嬉しかった。

『お誕生日、おめでとうございます』

『先生、こんにちは。今日は先生のお誕生日でしょう。満66歳でしょう。おめでとうございます。66は中国ではとても縁起のいい数字ですよ。「六六大順」と言って、順調だという意味です。だから先生は今年、きっとなんでもうまくいくと思います。先生の人生に比べたら、私はまだ三分の一ぐらいです。これからたくさんのことを知りたいです。先生の言うとおりに、二十四時間後の明日の今頃、私はどこで何をしているか、定かではありません。今を生きるしかないです。人生の面白さは、まさにその定かでないことにあるのではないかと思います。』

誕生日を記憶していてくれたことも嬉しいが、私の誕生日を契機に人生の綾までも考えてくれたことに感心した。

『新鮮な授業』『人生のあり方も』

『先生の授業は3年生の時から始まりました。私たちにとって、とても新鮮でした。たぶん先生は、もともと教師ではなかったから、授業のやり方は独特でした。一般のように知識を教えるのではなく、自分の考えを参考として、学生にも考えさせるものです。先生からいろいろ教わったことは、私には貴重な宝です。』

『今学期、先生からいろいろ教わりまして、大変勉強になりました。日本語と言う言葉だけでなく、人生のあり方や知識も教えてくださいました。みんな先生のことが大好きです。ありがとうございました。』

学生からこのような評価をされるのは、教師としてこれほど嬉しいことはない。この2つのメールは、期末試験が終わり成績も付け終わったあとなので、褒めすぎではあっても、“拍馬屁”(ゴマすり)やお世辞ではないだろうと思った。

これまで学生からもらったメールを日本で読み返していたら、南京と学生たちが無性に恋しくなった。(学生からのメール写真以外は日本で筆者写す)

「北京週報日本語版」 2009年11月2日

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