消費促進のために良好な条件を
王広謙・中央財経大学学長 現在、中国は成長の維持に努めており、消費拡大は経済成長の促進要素の一つである。当面最も重要なことは、良い政策を策定して導き、消費促進に良好な条件を作り出すべきである。
中国はまだ発展段階の中期にあるため、われわれは国民生活の質的向上と社会発展の真の必要性というところから出発して、消費を先導し、促進する政策と措置を策定すべきである。
経済成長と内需拡大は補完し合うもので、経済成長は条件であって、目的ではない。われわれは経済成長のために消費を刺激することがあってはならず、社会の発展、国民の生活水準の向上を鼓舞するために消費を刺激するのである。内需拡大は国民の生活水準を改善し、向上させる過程であり、さもなければ成長を保つための消費は浪費的な消費を招くに至る。
消費の伸びには多くの条件が必要とされるが、消費拡大には少なくとも三つの条件が必要だ。第一に、好ましい収入と好ましい将来見通しがあること、第二に、一定の蓄積があること、第三に、良好な社会保障があることだ。このような状況のもとでこそ、消費率を大きく伸ばすことができる。
30年にわたる高速成長を経て、中国の貯蓄率の伸びは中国経済成長の資金源ともなっている。消費の増加を促進するという角度から出発するなら、われわれは経済成長総量の中の配分構造、つまり住民所得の比重を高め、住民所得を安定的に増やすべきである。同時に、大量の労働力を受け入れる業種と産業を大いに発展させる必要がある。就業は人々の基本的な需要で、収入増加の条件でもあれば、住民生活の状態の一つでもある。なお力を入れて就業を拡大し、大量の労働力を受け入れる業界と企業に関心を寄せるべきである。
次の景気循環周期には中国の消費が倍増
袁岳・零点グループ董事長 危機の時期には人々は1000元で2000元のものを買おうとし、明らかに消費マインドは保守的になる。欧米も中国も同じだが、次の景気循環周期にはどうなるのか。
あるアメリカの専門家は、経済周期が回復しただけでは、アメリカの消費が2008年以前の状態に戻ることはあり得ない、と言った。私は彼とは逆の命題を持っている。つまり次の景気循環周期には中国の消費は倍増するということだ。
私には二つの判断の基礎がある。一つは中国が過去数年間に民生に大きく投入していること。金融危機発生後、世界中の経済刺激策の中で、中国政府の民生への投入は依然として有力なものである。保障的住宅にしろ医療保険にしろ、さらに養老保険、都市化、新農村の構築など、これらへの投入は今後も引き続き拡大するだろう。
現在、中国の貯蓄率が高い理由には、①老後の生活と病気治療に備えた貯蓄②子女教育を保障するための貯蓄③高価な消費財を買うための貯蓄、という三つの要素がある。政府が民生の投入に力を入れていることは、“保障的”効果をもたらし、住民の“後顧の憂い”を軽減して貯蓄を減らし、消費を増加するはずだ。保障効果は次の景気循環周期に顕著な役割を果たし、その時には中国全体の消費市場は何倍も拡大することになるだろう。
消費が倍増すると判断するもう一つの基礎は、次の景気循環周期には、一人っ子が消費の主力軍となることだ。彼らは中国の伝統文化とはまったく異なる最初の消費者世代である。一人っ子の存在は、特別な家族共同の消費現象を生じさせるようになった。例えば、住宅を買う場合、両親が頭金を出し、子供がローンを負担するといった具合だ。そのため、次の景気循環周期に15~34歳の年齢層は市場の新世代の消費主力軍であるだけでなく、同時に両親の消費を促すことにもなる。
次の景気循環周期における消費の繁栄は世界中の企業に重要なチャンスをもたらすことになると思う。中国市場が数倍に拡大しても、中国の現在の製品供給能力では足りないため、世界中の消費市場に対して先導力を持つ市場が初めて生まれることになる。現在、中国はアメリカや日本に大量に輸出しているが、将来、中国の消費が何倍も増えた状況のもとでは、大量輸入こそが中国の消費需要を満たせることになるだろう。
そのうえ、中国の若い世代の消費者には新しい消費の特徴がある。例えば、現在の中国の若い消費者の消費周期は、携帯電話やMP3の使用周期では日本や世界の周期と大差なく、今後は日本よりも短くなるだろう。このような消費市場の環境のもとで、企業のチャンスは大きくなるはずだ。
「北京週報日本語版」2009年7月27日
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