――今回の金融危機は、SCOの経済協力促進の面で、その目標にどんな影響を及ぼしたのでしょうか。
金融危機は加盟国にかなりのマイナス影響を与えましたが、同時に、それは今後の経済発展のモデルと方向性について考える機会を与えてくれました。中国について言えば、貿易に過度に依存し、内需に力強さが欠ければ、経済の持続的な発展は難しくなります。中国は通貨の多元に賛同しており、外貨準備もドルだけにすべきではありません。人民元には徐々に国際的な通貨となる潜在力があり、国際金融システムでも理路整然かつ漸進的な改革を進めていくことが必要です。
もちろん、金融危機がもたらしたのはマイナスの影響ばかりではありません。それは多くの面で協力推進に向けた刺激剤となりました。危機をきっかけに、加盟国が真剣に考えるようになったことで、金融分野での協力が進んだのです。同時に、その他の分野でも協力を推し進めました。例えば、資金にあえぐ国がある一方で、余裕のある国もある。それぞれに融通すること可能です。中国はロシアに250億ドルを融資し、ロシアはこの資金で天然ガス資源を開発することにしています。ところが、エネルギー開発は進まず、ロシアの収入はさらに減る可能性があり、金融危機による経済全体へのマイナスの影響はさらに拡大する可能性があります。中国とカザフスタンも同じような協力関係にあります。
主任秘書長を務めていた時ですが、いろいろなプロジェクトを実施し、資金の問題を解決するには、SCO基金を立ち上げることが必要だと提言したことがありました。でも、実現には至りませんでした。今、加盟国はかなり柔軟な姿勢を示しています。将来、機が熟せば、SCO銀行を創設することも可能となるでしょう。
今直面している金融危機は、力を合わせて対応することの大切さを教えてくれています。そうすることで、地域の協力はより重要性を増していくのではないでしょうか。
――SCOにはエネルギー供給国もあり、エネルギーの消費大国もあります。SCOは加盟国に、世界的なエネルギー価格の激変による打撃を和らげるために、どのような協力の機会を与えることができるのでしょうか。
エネルギー協力は一貫してSCOが優先する協力分野となっています。加盟国とオブザーバーのなかには、エネルギーを生産、輸送、消費する国があります。各国は探査や採掘、輸送、消費という各段階でいずれも協力する機会は非常に多く、それぞれの優位性をもって補完し、需要のバランスを図り、各国の利益に配慮することが必要です。
――SCOの枠組みのなかで、加盟国は生態分野で、どのような協力を行っているのでしょうか。
生態面での協力プロジェクトは活発ではありませんが、各国はこの問題に非常に関心を寄せています。今年の首相会談の際には、生態、環境保護の問題に関心が集まるでしょう。
中国は経済刺激策で、生態の安全や環境保護、民生などの面に多く投資し、精力を注ぐとともに、生態の安全という考え方を発展戦略に盛り込みました。生態の安全、環境の保護という理念がなければ、持続可能な発展は想像できないことです。
今年12月、「第1回世界生態安全会議」がカンボジアで開かれます。中国国際問題研究基金会の生態安全研究センターは、学術的な面からSCOの生態環境保護面での発展を推進していくことにしています。
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