本紙特約記者 李滔
胡錦涛国家主席は6月、ロシアのエカテリンブルグで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会談と中国・ロシア・インド・ブラジル(BRICs)4カ国サミットに出席するとともに、ロシアなどを公式訪問した。
広がる世界金融危機の中、SCOはいかにより大きな役割を発揮するか。中ソ関係の発展は国際的な枠組みにどんな影響を及ぼすのか。こうした問題について、本紙は先ごろ中国国際問題研究基金会の理事長で、外交部副部長と駐ロシア大使、SCOの初めて主任秘書長を務めた張徳広氏にインタビューした。
――SCOの意義をどう評価していますか。設立当初と比べた場合、組織にどんな変化があったのでしょう。
中国とロシア、タジキスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国は2001年6月、SCOの正式な設立を宣言しました。その時には、組織にはまだ憲章や常設機構はありませんでした。当時、各国はSCOの将来について理解せず、また見通すこともできませんでした。03年に常設機構の秘書処が設立されました。04年、別の常設機構である地域反テロ機構を設立。こうしたことを経て、SCOに自ら運営する良好な組織システムが構築されました。02年に採択した「上海協力組織憲章」、07年調印の「上海協力機構加盟国の長期にわたる善隣友好協力条約」により確固とした法的基礎ができました。その後、SCOフォーラムや実業家委員会、銀行連合会などを相次いで設立。8年を経てSCOはかなり成熟、完備され、また世界的に知られる国際的な地域協力組織となりました。
人口や地域から言えば、世界最大の地域的な協力組織です。地域から見れば、欧州とアジアの20数の国際組織のなかで、SCOは発展に向けた潜在力を最も備え、最も将来性のある組織と言えます。SCOの枠組みの下で、政治や安全、経済・貿易、交通、通信、運輸、エネルギー、農業、衛生、環境保護などの分野での協力が始まりました。役割について言えば、地域の安全を維持し、加盟国間の経済貿易協力などを促進する面で重要な役割を発揮しています。SCOの存在しない中央アジアは想像できないし、まして公平で正義の国際秩序のなかにSCOが存在しないことも想像できません。
SCOは冷戦という2極の枠組みによる束縛からの脱却を背景に設立されました。加盟国は歴史的経験や教訓を総括し、新しいタイプの地域組織のモデルを創造したのです。それは新しいタイプの国家関係の原則を具体的に示しており、具体的に言えば、つまりSCOの「上海精神」、「相互信頼、相互利益、平等の対話、多様な文明の尊重、共同の発展の追求」です。それは西側の国際関係の理念とモデルを完全に覆すものです。西側の国際関係の理念は利益を強調しています。つまり、永遠の利益だけがあり、永遠の友はない、ということです。一方、SCOは平等で、互恵の関係を強調しています。さらに第3者に対峙することのないよう強調。これは北大西洋条約機構(NATO)とまったく違います。ですから、SCOは「東洋のNATO」と言う人がいますが、それは根拠のないことです。「上海精神」は時代の精神、国際秩序の発展方向を示しており、そしてモデルかつ模範となる役割を果たしているのです。
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