◇侵略戦争謝罪した「村山談話」を堅持◇
「日中関係で日本が大切にしたいこと」として、1995年8月15日に発表された村山富市首相(当時)の「村山談話」を堅持することを主張した。武村氏は当時、村山内閣の蔵相を務めており、「村山談話」の作成にも加わっていた。「あの当時、一言ひとこと推敲を重ねてまとめたものだ」と、14年前を振り返った。村山談話の重要なポイントとなる部分を暗記しており、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と語った。
「村山談話」はこのあと、「私は、未来に過ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」と続いている。
この談話は日本が戦後50周年を迎え、侵略戦争や植民地支配を公式に謝罪したものである。村山内閣以降の歴代政権にもこの談話は引き継がれ、現在の麻生太郎首相もこの歴史的見解の継続を表明している。
◇「戦争放棄」を明確にした憲法9条◇
中国側に期待することとしては、「戦後の日本は、歴史認識はアバウトだが、『二度と戦争はしない』という認識は強く持っている。戦争放棄も明確にしている」と語り、通訳の張旭偉氏に中国語で日本国憲法第9条を読んでもらった。
第9条「戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認」日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
現在の日本国憲法が「平和憲法」と言われる核心部分である。武村氏は、「今の日本人は60~70%の人が、憲法9条を変えない、という世論調査がある。日本国民の3分の2が平和憲法を支持していることを、中国の人たちも理解してほしい」と訴えた。
中国側に期待することは、「戦後64年間、日本の失敗を教材として、中国はそれを反面教師にしてほしい」と呼び掛けた。武村氏がまず挙げたのは、公害問題だった。「日本は高度経済成長により、公害で大失敗をした。日本列島の環境がガタガタになってしまった。中国はこの公害列島を繰り返さないでほしい」
武村氏は自身が滋賀県知事時代、日本最大の湖である琵琶湖の水質汚染を防止する日本で初めての合成洗剤追放条例(通称「琵琶湖条例」)を制定している。一般家庭で使用していた合成洗剤を追放し、琵琶湖を蘇らせた経験から、現在の中国も次第に公害問題が深刻になっていることを指摘して、日本の失敗を繰り返さないよう呼び掛けた。
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