建物損壊の主因は地震の規模と震度の大きさ
「倒壊した校舎と病院の中に“手抜き工事”はなかったのか」という記者の質問に、魏宏副省長は「地震の規模が大きく、震度が強かったことが、校舎およびその他の施設が倒壊した最も主要な原因だ」と答えた。
地震発生後、四川省政府は清華大学建築工程設計院、中国建築科学研究院および省内のいくつかの権威ある部門に、被災した学校の一部やその他の重要な施設に対する調査分析を依頼した。調査結果によって、地震の規模の大きさと震度の強さが校舎と重要な施設が倒壊した主な原因だとわかった。強震度による破壊力が、被災地のほとんどの建物の設計耐震度(1~2度)を超えたからだ。
施設の地理的位置によって、施設の損害程度も違った。「科学研究部門と権威ある部門の結論は一致したものだ。つまり、学校を含む公共施設、工場などが倒壊した主因はほかでもなく、地震だ。省党委員会と省政府は科学を尊重し、権威ある部門の意見に基づいて仕事を処理する」と魏副省長は言う。
建物の質に問題があったという見方については、「被災地が広く、被災者がぶつかった問題もさまざまであるため、そういう見方を持つことも正常だ。とりわけ、死んだ子供の親族は、いまも心の痛みを感じているため、そうした疑いを持つのも理解できる。省党委員会と省政府は被災者の生産や生活、再就職、再出産、心理カウンセリングなどに非常に関心を持ち、できる限り被災者が抱える問題を解決することにしている」と語った。
「現地、近隣、分散配置」の原則によって農民の困難を解決
地震によって約20万人の農民が宅地や耕地、林地を失ってしまった。このため、同省は「現地、近隣に分散して配置する」という原則に基づいてこの問題を解決することにしている。
土地や宅地を失った農民を郷里に戻す際の配置では、現地または近隣のほか、村では世帯グループ間で、県では郷鎮の間で調整を行って配置するという原則を立て、08年末までに15万人の農民を現地か近隣地に配置した。
また、農民の自由意志に基づいて、その他の県や市、州、地区に一部の農民を配置することにし、現在、その他の市と州での配置を計画中だ。省政府は配置のテスト地区を選んだうえ、アセスメントを行っている。また、農民を組織して現地視察も行う予定だという。
地震跡を保存し、被災者救助精神をPR
魏宏副省長は「再建における10にわたる仕事のうち、非常に重要なものが1つある。それは精神的な故郷の建設で、再建についての国務院の総体計画に組み入れられたものでもある。被災者救助の面に現れた偉大な精神をPRするため、われわれは地震跡地を一部保存することにした」と語った。
魏宏副省長によると、北川や映秀、青川、東汽などの県では、再建計画に基づいて一部の地震の跡地を保存し、「災害がもたらした傷を覚えておいてもらうだけでなく、天災に直面して現れた中華民族の精神と意志も覚えておいてもらい、さらに社会主義制度の下で、われわれは必ず党と政府の指導の下で、救助精神を発揚し、自然災害に打ち勝つことができるということを覚えておいてもらう」という。
『成都晩報』によると、全人代会議に参会した同省の経大忠代表(北川県チャン族自治県県長)も、被災地の再建を促進させるため、北川県を基地にして、「地震産業」を興し、食事や住宅、関係製品の開発に取り組むべきだとの提案を出した。
現在、四川省初の地震遺跡公園――広元市青川県東河口の地震遺跡公園が08年11月12日に開園した。地震遺跡見学は、同省観光の新しいホットスポットとなっている。例えば、地震後初めての旧正月(今年の春節)期間に、同省は観光客延べ1656万6000人を受け入れたが、これは昨年同期に比べ21.9%伸び、観光による収入は47億元に達し、同32.8%増えた。新華ネットによると、北川県の県都遺跡を見学した観光客数は延べ10万人で、被災が極めて深刻な綿竹市漢旺鎮が毎日受け入れた観光客は延べ1000人以上だった。同じく深刻な被災を受けた彭州市竜門山鎮の回竜溝観光区のそばにはまた、面積6.7ヘクタールの真人CS野戦基地が作られた。
アナリストは「地震遺跡の一般公開は、なによりもまず被災者の家族の気持ちと社会的影響に気を配り、適正化された秩序正しい、厳かな管理を行わなければならない。こうすれば、地震跡地が商品化されることまではないだろう」と指摘した。
資料
地震によって、四川省の農村では、347万6000戸の家屋が損害を受け、126万3000戸の家屋が再建を必要とするに至った。今年2月現在、すでに着工した農村の再建家屋数は118万9000戸で、再建総数の94.2%を占めている。うち再建中の家屋は34万2000戸で総数の27.1%を占め、完工した家屋は84万7000戸で総数の67.1%を占めている。また、修繕・補強を必要とする221万3200戸の家屋はすでに完工した。
都市部では、再建の必要がある家屋は約31万2500戸で、修繕・補強の必要がある家屋は約141万7500戸だ。2月現在、都市部の再建中の家屋は再建総数の25.6%を占める8万戸に、再建がすでに完工した家屋は再建総数の5.6%を占める1万7600戸に達した。すでに修繕・補強された家屋は46万6000戸で、修繕・補強の必要がある家屋総数の32.8%を占めている。
公共サービス施設の再建の面では、同省が学校や病院およびその他の公共サービス施設を優先させる原則を貫徹している。全省で、再建の必要がある学校は9145校、これまで国の計画に組み入れられた学校数は1819校で、うち建設中のものは1560校で16.7%を占め、完工したものは220校で6.6%を占めている。同省の再建計画に組み入れられた重点被災県12県のうち、すでに着工したものは617校で50.8%を占めている。
医療・衛生機関の再建の面では、再建総数は4127件で、うち総数の38.55%を占める1951件については一応目鼻が付いている。このほか、ラジオ・テレビ、文化・スポーツプロジェクトでは749件が建設中で、総数の12.8%を占めている。
同省は年末までに学校の再建作業の95%、医療・衛生機関の再建作業の95%を完了させ、同時にその他の公共サービス施設の建設を急ぐことにしている。
インフラ施設と産業再建の面では、2月末現在、すでに着工した再建プロジェクトは681件で、自動車道路や鉄道、民間航空、通信、エネルギー、水利工事などのインフラ施設に及び、再建総数の43.5%を占めている。工業、観光、文化の施設の再建プロジェクトでは、すでに着工したものは3141件で、再建総数の77.7%を占めている。被災を受けた一定規模以上の工業企業4812社の97.4%が生産を回復し、商業・貿易・流通・サービス業の営業再開率も94%以上に達し、観光業の回復も一応の効果を見せた。災害後初めての春節期間中は、全省で延べ1656万6000人の観光客を受け入れ、昨年同期比21.9%伸び、観光による収入は47億元に達し、同32.8%増えた。
(資料は3月8日に開かれた「四川省の被災後再建」記者会見による)
「北京週報日本語版」 2008年3月18日 |