「三国」研究については、日本では従来から2つの流れがある。1つは学術研究で、小川環樹氏の「中国小説史の研究」がその代表格。もう1つは実用的研究で、主に企業界の人びとが参与し、実際と結び付けて研究するという特色をもっている。『三国演義』で描かれる友情、欺瞞、勝敗などは日本人の間にも相通じるものだ。忠誠、仁義、知恵、人の任用、謀略などの戦略と戦術は日本でも大きな輝きを放っている。多くの大手企業は『三国演義』を「指導者必読」の書に指定し、諸葛亮孔明の兵法を管理原則と見なしている。「経営の神様」と称される松下幸之助氏は「三国志の登場人物の知恵は、私の最も良い教師だ」と話していた。また、製品を世に出すには人材の輩出がより必要であることを説き、協力、報恩、報国を企業の基本的精神とした。そして、三顧の礼をとった劉備の任用術を提唱し、才能があれば推挙し、高卒の山下俊彦氏を社長に起用して苦境を乗り越えた。
日本には数え切れない三国志ファンがおり、三国志ファンクラブも100以上ある。一部の人たちは驚くほど三国志の人物を知っており、三国志を詳しく読むために中国語を学び始める学生も少なくない。毎年、企業の管理者など多くの日本人観光客が、三国志ゆかりの地をはるばる訪ねてくる。こうしたことからも、三国志の尽きることのない魅力が中日両国をしっかりとつないでいることが分かるだろう。
「北京週報日本語版」2009年2月13日 |