王錦思
日本人は中国の何が最も好きなのか?恐らく中国人の中には諸説があり、“儒家文化”とか“白居易の唐詩”と言う人もいれば、“中華料理”と言う人もいるだろう。僕は“三国志”に関わることだと思う。日本を訪れると、「三国志」に関する書籍、漫画、ゲームを目にするし、この上なく魅力的な“三国志”は中日両国をしっかりとつなげていると感じる。
2008年10月19日、第21回東京国際映画祭の中国映画週間の開幕式において、麻生太郎首相は「レッドクリフ」(「赤壁」)の主要製作スタッフとともにグリーンカーペットに登場した。「レッドクリフ」は日本で興行成績NO.1のアジア映画となった。そこからも日本人の心の中で「三国志」がどれほど重要なものであるかがわかった。これも中日交流史の淵源の長さを鮮明に具現するものだ。
三国の歴史に関して陳寿が編纂した『三国志』は中国史学の経典とされる二十四史に組み入れられ、羅貫中の歴史小説『三国演義』は古典文学の四大名著の1つとなっている。この2冊の名著に反映されている歴史は近代日本の運命とよく似ているため、「三国志」は日本では誰もが知っているほど有名で、日本で巻き起こった「三国志ブーム」は少しも中国に劣らず、深い影響を及ぼしている。
現在、日本では2種類の異なった元代の『三国志平話』版本および明代の『三国演義』の数種類の版本が保存されているが、中国では大部分が散逸している。台湾天一出版社の『明清善本小説叢刊』、上海古籍出版社の『古本小説集成』など、大型叢書の中の『三国演義』の影印本は、いずれも日本に保存されている版本に基づくものである。
日本には『三国演義』の訳本、木版印刷本、改作本がたくさんある。日本最古の外国語の訳本は1689年に日本の僧侶、湖南文山が翻訳したもので、題名は『通俗三国志』計50巻だ。この訳本は羅貫中の『三国演義』をもとに、陳寿の『三国志』を参考にし、忠実かつ素朴に、分かりやすく、印刷、転写を繰り返して今日に至っても流行している。
江戸時代、日本では図説を主とする『絵本通俗三国志』が出版され、庶民から好評を博した。近現代に日本で三国の作品を訳した第一人者は吉川英治だ。氏は冗長な戦いの描写を省略し、文字に手をいれ加工して、人物を日本的にし、全10巻の典型的な日本的風格によって、高い評価を受けた。横山光輝氏の漫画『三国志』は60巻、販売部数は3000万部に達し、アニメーションにも製作され、今なお書店の最も人目を引くカウンターにいっぱい並んでおり、「三国志」ファンたちから古典的作品と見なされている。NHKテレビで放送された連続人形劇『三国志』および中国の連続ドラマ『三国演義』の日本語版は大きな影響を与えた。PCゲームでは『三国無双勇将伝』、『三国志』があり、大人も子供もいずれも興味を示している。中国大陸の『三国志』PCゲームも大部分が日本から出品されたものだ。
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