WiFiには移動性能が低く、カバーエリアが限られているという弱点があるが、中国電信のCDMA網は移動性に優れており、カバーエリアも広い。そのため、中国電信はWiFiをCDMAにバンドルすることができ、全国規模で低コストの無線ブロードバンド網のカバーを実現できる。
しかし、中国移動も、消費者から期待を集めるWiFi業務が他社に独占されるのを、手をこまねいて見ているわけではなく、同社もWiFi市場の争奪戦に加わっている。
中国移動は早くも03年にワイヤレスネットワークの試験運用を行っており、ここ数年は大規模な展開を行っていなかっただけだ。今年、中国移動は北京五輪のマーケティングに乗じて、ワイヤレスネットワーク業務を推し進めており、これによってWiFi分野でも一定の座を確保したい考えだ。
現在、中国電信と中国移動はいずれもWiFiを含むさまざまなインターネットのセットプランを推進している。
劉培植教授は、「WiFi携帯の普及は、今のところまだ高めの携帯通話料金をドミノ式に押し倒す可能性があり、その通信料金への影響は革命的なものだ。三大電気通信事業者が利用者獲得のための値下げ競争を引き起こす可能性もある」と指摘する。
しかし、中国電信と中国移動がWiFi業務を促進していこうとする一方で、中国聯通はなぜか、WiFi業務については何の反応も示していない。中国聯通のサービスセンターに問い合わせたところ、オペレーターの返事は、同社指導者部からはWiFi業務に関連したいかなる指示も受けていない、とのことだった。
電気通信事業者間の競争のほか、WiFiをめぐる競争では携帯機メーカー、特に国産メーカーと海外ブランドメーカーとの間の競争も生まれる。
目下、iPhone、ノキア、モトローラ、サムスン、ソニー・エリクソンなどの海外ブランドの携帯メーカーはみなWiFi技術を持っており、これらのメーカーの携帯機にはほとんどWiFi機能が搭載されている。中国市場では政策的な理由で携帯にWiFi機能を搭載させないことになっていたため、彼らはその機能をブロックせざるを得なかったが、この政策が解禁されれば、すぐにも中国市場に大量のWiFi携帯を提供することができるのだ。しかし、国内メーカーはどこもWiFi携帯の研究・開発、生産分野での投入は多くなく、もしも今すぐに解禁されれば、国産メーカーには準備する時間がほとんどないだろう。
劉培植教授は、「政府が“携帯電話にはWiFi機能を搭載してはならない”という禁令を解いたなら、国産携帯メーカーにとっては疑いなく“泣き面に蜂”だ。外国ブランドはWiFi携帯では既存のプランを持っており、中国市場のために携帯プランを変える必要がないため、全体のコストも比較的低く抑えられる。だが、国産の携帯機は政府がその搭載を禁じていたばかりに、技術の蓄積が相対的に遅れた状況を生み出した」と指摘する。
同教授はさらに、「政府または電気通信事業者が国産携帯メーカーに対する救済を行わなければ、いったんWiFi政策が解禁になるや、国産メーカーは不平等な競争に直面することになるだろう」と話している。
「北京週報日本語版」 2008年11月21日 |