土地流通をめぐる課題
奨励策があっても、現段階では土地の流通は大規模には発生しないと見る徐祥臨氏は、「最大の問題は、農民が土地請負経営権の流通を望んでいるかどうかだ」と言う。
徐氏は、「つまるところ、より多くの農民が請負農地や住宅用に利用している集団所有制の土地の使用権を徹底的に放棄し、市民となることが必要。土地が変わらず、農民の数が減れば、大規模経営の実現が可能になる。従って、土地請負経営権の流通を認めることは、財産権を明確にするというだけでなく、都市と農村の関係と結び付けなければならない。単に農村の内部でことを運べば大きな効果は得られないだろう」と指摘する。
早くも03年に北京市国土資源局が制定した『北京市農民集団建設用地使用権流通試験地弁法』の中では、農民の集団建設用地の使用権は、土地の所有者と使用者が自ら希望するという前提のもとで、譲渡、賃貸、価格換算の出資・株式購入を行うことができる、としている。同年9月から、この弁法は北京市延慶県の大楡樹鎮、懐柔区の廟城鎮で施行された。
しかし、今のところ、この試験的な弁法の実施状況は思わしいものではなく、基本的に停滞している。その主な原因は、農民と村という集団の間で土地に対する権限が不明確なことにある。
徐祥臨氏は、「農村の土地を流通させようとするなら、その市場を発展させなければならない。そして市場を発展させるための前提は、土地に対する農民の権限をはっきりさせ、これを保護すること。最も基本的なことは、土地の請負関係を真から安定させ、確実に保護することだ。政府が行政的手段によって土地の用途を思い通りに変えるようなことはしてはならない。このほか、土地を流通させられるかどうか、集中させて大規模経営を発展させられるかどうかは、農村人口を都市部の第二次産業、第三次産業に移転させ、安定した就業機会を与えられるかどうかにかかっている」と指摘する。
土地流通をめぐる主な問題は穀物の安全供給問題と考える陳錫文氏は、「過去の土地流通の使用状況から見ると、大規模経営を実施しているほとんどの土地では穀物が生産されておらず、その多くが果物や野菜、生花、盆栽、薬材などの生産に向けられている。従って、土地の流通は節度を持って推進し、しっかり把握することが必要で、農産物の生産構造に大きな偏りを生じさせてはならない」と指摘している。
「北京週報日本語版」 2008年11月5日 |