30年の改革を経たあと、中国の農村は、再び新たな進展を迎えようとしている。
08年10月9日から12日まで、中国共産党中央委員会が北京で開催した第17期中央委員会第3回全体会議で、中国農村の新たな改革について討論が行われ、意見の一致を見た。発表された公報によると、今回の会議で審議され採択された『農村の改革・発展を推進するに当たっての若干の重大な問題に関する中共中央の決定』は、新たな出発点に立って農村改革を推進する指導思想、目標・任務であり、重要な原則である。この決定は現在と今後の一時期において、中国の農村改革を進める上での指導的文献となる。
中国の改革開放は農村に始まり、30年の改革・発展を経て、農村には大きな変化が生じ、農業は大きく成長し、農村経済は急速に発展し、農民の暮らしは向上した。しかし、農村の改革・発展は多くの試練と問題に直面してもいる。解決が待たれる緊急課題が数多くあり、農村の改革・発展はそのスピードアップが期待されている。このような背景のもとで第17期三中全会は、新たな情勢のもとにおける農村改革の推進問題について専門に検討した。
今回の会議は中国の農村にどのような情報をもたらすのか?中国の農村はどのように改革され、どのように発展していくのか?どのような目的を達成するのか?人々が関心を寄せるこれらの問題に関して、専門家らが会議の公報について解説する。
一、 中国農業が直面する当面の情勢に対する判断
<公報の内容>
会議では、中国の農村に今、新たな変革が起きていること、中国の農業が国際協力・国際競争に参入するという新たな局面に直面していること、農村の改革・発展は多くの有利な条件を具えるとともに、少なからぬ困難と試練に直面していること、とりわけ、都市と農村の二元化構造がもたらした深い矛盾が際立っていることが、それぞれ確認された。農業の基礎は依然として薄弱であり、最も強化が必要とされることとして次の点が挙げられた。▽農村の発展が依然として遅れており、最も救済が必要とされる。▽農民の収入増加が依然として困難な状況にあり、最も急ぐ必要がある。
会議では、中国は総体的にすでに、工業が農業を促し、都市が農村を引っ張る発展段階にあること、既存農業の改造を速め、中国の特色ある農業の現代化という道を歩むための肝心な時機に入ったこと、都市と農村の二元化構造の打破に力を入れ、都市・農村の経済・社会の発展を一体化させた新たな形を築く重要な時期に入っていることが、それぞれ確認された。
<専門家の解説>
鄧大才氏(華中師範大学中国農村問題研究センター教授) これは中国の発展段階に対する共産党中央の全面的に新しい認識だ。以前のかなり長い期間、農村経済は、農民が工業化を積み重ねていくための元手であり、都市化を推し進めていくための伝送資源であると認識されてきたが、今回の公報の農村経済に対する認定は、「三農」の工業化、都市化のための貢献、犠牲の時期がすでに終わるとともに、工業が農業にお返しをし、都市が農村の新たなステップの手本を示すことを意味している。これは、中国の今後の農村発展政策とその制度の拠り所を定めたものであり、「三農(農業・農村・農民)」の発展のための新たな出発点、新たなチャンスでもある。
陳錫文氏(中央農村工作指導小組弁公室主任) 30年前に始まった農村改革は、中国の広大な農村の姿に歴史的な大変化を生じさせた。しかし、農村の改革・発展は依然として次のようないくつかの試練と問題に直面している。▽都市と農村の二元化構造の矛盾が依然として際立っており、都市と農村の経済、社会の発展を一体化させた統一的な新しいスタイルを構築するという差し迫った要請に応えることができずにいる。▽農業の発展方式が依然として粗放型で、農業の安定的な発展を維持することの難しさが増している。▽世界的に穀物の需給状況が手詰まりで、国の食糧安全保障への圧力が増大している。▽農民の持続的な増収のメカニズムがいまだに完全に確立されておらず、都市と農民の住民の収入格差が一層拡大している。▽多くの農村は依然として立ち遅れており、都市と農村の基本的な公共サービスの均等化を実現するという重要な任務の道のりは遠い。
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