そこで、ここ2年間は、業界内部でカラオケ著作権使用料の徴収主体の合法性がずっと疑問視され続け、多くのモデル都市が著作権使用料の支払いを拒否するとの声明を発表していた。
08年7月23日、「音集協」は民政部から「社会団体法人登記証書」を授与された。ここに至って音集協はやっと完全な法的地位を持つことになった。王化鵬副会長によると、音集協は今後、音楽・映像作品の著作権者から権限を授与され、関連するさまざまな施設や放送局、テレビ局、インターネットなどの著作権使用者に対してその使用料の支払いを求めたあと、具体的な状況に応じて民事、行政、刑事などの面から措置を講じて著作権侵害者を取り締まるという。
カラオケ経営者の著作権使用料の納付を奨励するため、音集協は、08年に積極的に納付した経営者に対しては一定の優遇措置を与えると規定している。8月1日、河南省鄭州市のKTV企業がこれまでの9カ月分の使用料を納めただけで、1年で30%割引された、とメディアは伝えた。だが、支払いを拒否する経営者に対しては、音集協は今後、さまざまな措置を講じて権利侵害を取り締まり、その法的責任を追及していくことになる。
音集協の関連部門の責任者である馬継超氏によると、具体的な数字はまだ出ていないが、目下すでに使用料を納めた経営者はかなりおり、契約の形もさまざまで、1年契約もあれば、半年契約もあるという。
業界の反応
音集協は8月6日に発表した「2008年徴収基準公告に関する若干の説明」という文書の中で、カラオケ経営者が著作権者の作品を使用することで得た利益は、本来支払うべき著作権料で、コストに組み入れるべきものであり、消費者に転化すべきではない、と協調している。
王化鵬副会長はメディアの取材に対し、徴収基準を制定するまで、関連部門は十分な調査と検討を行っており、市場に受け入れられるかどうかも繰り返し考慮してきた、と語った。1日1個室当たり12元という基準は、市場調査を行った結果に基づいて決められた額であり、これによって生じる使用料は正常なKTVの経営コストのうち約3%を占めることになり、ほとんどの経営者にとって受け入れられる額だという。
だが、業界内の人々はカラオケ料金の値上げは避けられないと見ている。
08年4月、大手カラオケ店の「銭柜」は北京、上海、広州、深圳、杭州などの16店舗のチェーン店で、2年間の使用料、合計1200万元を納付した。これは、今のところ「音集協」が受領したカラオケ使用料で最大の金額だという。
値上げを懸念する声に対して、「銭柜」法務部の関係者は新たな基準を受け入れる意向を示すとともに、値上げはないと表明した。しかし、06年に国家版権局が徴収基準を規定した第1号公告を発表したあと、北京銭柜の価格は1時間59元から96元へと上がり、すべての個室の価格が平均して50%前後上がっている。これに対し、銭柜上海総公司は「著作権使用料とは関係ない」と釈明しているが、こうした釈明が世間の納得を得られないのは明らかだ。
北京、上海、広州などのその他の大手カラオケ店も、著作権使用料のために値上げすることはないと相次いで表明している。しかし、物価上昇などマクロ経済の影響で、今年になってからカラオケ店の利用客は各地で軒並み減少する傾向にある。業界の関係者は「利益を確保するためには値上げの必要があるが、値上げにはライバル店の出方も見守らなくてはならない」と話す。このため、カラオケ著作権使用料の納付が、赤字経営の瀬戸際で低迷していた企業にとって閉店の最も直接的な理由となり、「業界再編」を引き起こす可能性がある。
「北京週報日本語版」 2008年9月19日 |