本誌記者 陳 冉
セルビアの射撃選手、ヴィディックさん(撮影・王祥)
北京に来てすでに4日になるセルビアの射撃選手、シニセン・ヴィディックさんは、毎日夕食後、パラリンピック村の北西にあるショッピング街を車椅子で「散歩」する。こうして店を見て回り、風景を楽しみ、新しい友達をつくるのだ。夕陽が沈むと微かな風が頬を撫で、ベオグラードの家にいるように心地よく、国際大会に臨む緊張感やプレッシャーが消えるという。
「北京空港に降り立ったとき、まず思い浮かんだ言葉は“ショック”。チームメートも同じ印象だった。故郷では中国製品をよく使っているけど、実際に来てみるのとは違う。私のように初めて来た人にとって、こうして実際に感じる目新しい感覚は素晴らしい」。彼は笑顔でこう語りながら、傍らのマケドニア代表チームのメンバーに挨拶した。
彼はまた「北京は清潔できれい。建物も立派だし、人々もフレンドリーで食べ物もおいしい。最も大切なのは、パラリンピック村がとても便利なこと。国際区のショッピング街は、ミニ中心街みたいにスーパーや銀行、郵便局、ネットカフェ、旅行社、ヘアサロンなど、必要なものが何でもそろっていて、しかもすべてがバリアフリー。10mエアライフルの競技に参加したあとに必ず北京観光を楽しむ」と語った。
ヘアサロンで手入れをしてもうらメキシコの
重量挙げ選手、アメリアさん(撮影・王祥)
メキシコの重量挙げ選手、アメリア・ペルツ・ヴァケッツさんもヴィディックさんと同じようにパラリンピック村を絶賛する。
「北京に来たのは2度目。今年5月に1度来たけど、とても変わった。ますます良くなった」と、新しいヘアスタイルになるのを待ちながら彼女は話した。
北京パラリンピックは彼女にとって3度目のパラリンピックだ。04年のアテネパラリンピックでは48kg級で銀メダルを獲得。「今回の52kg級は世界のトップクラスの選手が参加していて熾烈な争いになるけど、私はもう準備万端。競技を控えた今、何より重要なのはヘアよ!」と彼女は鏡を見ながら笑顔で語った。
規定では、登録を済ませた選手、代表チーム関係者、コーチ・監督に対しては、オリンピック村とパラリンピック村のヘアサロンはシャンプー、セット、カットを無料で提供することになっている。
このヘアサロンの責任者である北京麗人美容有限公司の呉茜総経理によると、内装はイギリスの設計事務所によるもので、五輪期間中は、待合室のグリーンのプラスチック系素材や白い玉石素材が公園のようで、とても好評だったという。ゆったりとしたサロンは、1日400人余りの利用客に対応できるという。
呉さんによると、8月30日にパラリンピック村が開村した日、代表団選手らの出入りに便利なようにと、それまでは4列に並んでいた椅子を左右の椅子だけ残して、真ん中を車椅子が通れるように広くしたという。シャンプー台の高さも車椅子の大きさに合わせて調整した。選手らを迎えるときには、店員は笑顔でサービスするという基本的なマナーのほか、きちんと目線を合わせ、穏やかな気持ちで接するなど、細かい点にもより注意するという。
呉さんはさらに「準備をしっかりすればサービスの質も良くなる。たとえば、私たち128名のスタッフは半年前から毎日2時間、英語の美容用語80ワードを覚える訓練を重ねてきた。今ではここの60名のスタッフとお客様との交流に何の支障もない。代表団の数が増えるにつれてお客様も増えている。私たちは臨機応変にサービス内容を調整し、よりよいサービスを提供していくつもり」と語った。
「北京週報日本語版」 2008年9月3日 |