四川における農業の地位がかなり重要であることから、ブタ肉・その他農産物価格が地震被害を受け急騰するのではないかと懸念する人もいる。そのリスクは確かに存在し、今後も目を離せないが、現時点でのデータによると、被害の程度は限りあるようだ。政府の見解では、被害を受けたブタは100万頭以下だが、全国で現在飼育されているブタは4億頭を上回る。最近のブタ肉価格の安定がそれを物語っている。穀物生産に対する地震の影響は、さらに限りあるものだと見られる。
地震災害後の再建ニーズが基本原材料やエネルギー価格に極めて大きい影響を及ぼしうると心配する投資家もいる。これは、日本の1995年阪神大震災後には起こり得ない問題だった。確かに、国内のインフレ率上昇や世界的な商品価格高騰情勢が続くなか、震災後の再建ニーズが中国のマクロ政策決定をより複雑にする可能性はある。しかし、被災地の経済規模から見て、マクロ政策路線を変更しない場合、全国のニーズ全体さらには価格に対して同地区の再建が及ぼす影響は、かなり限りがある。
ただし、政府が時機到来を待たずに貨幣政策を緩和した場合(地震災害によるものか、一部輸出企業からの要求によるものかに関わらず)、インフレ予測の悪化を招き、今後の中国のマクロ経済情勢を一層厳しいものとするだろう。我々は現在、このような状況が発生する可能性は少ないと思っているが、インフレ拡大のリスクを的確に判断するために、政策の変化を注目していく。
「人民網日本語版」2008年5月26日 |