「早くて数年あれば何でもこなせる」、こう黄健明氏は思い、設立当初、意馬国際のように映画の特殊効果、大型映画の大広告を手がけることを思い描いていた。しかし、実際にはそう簡単に事は運ばなかった。「国内でデジタル映像を手がけるには市場が狭すぎた」と同氏は言う。国内の同業企業の多くは同じような苦境に直面し、できる仕事は何でも請け負い、会社の生き残りをかけるのが主な目的となり、芸術性やビジネスの選択という点では悲惨な状況だった。
黄氏によると、ここ数年で同業界には大きな変化が起きており、特に海外資本が入ったことで中国企業が国際的な後ろ盾を得て、本土企業も多くの先進的理念を吸収しているという。肝心なのは市場全体が盛況なことで、中国企業の生き残りをかけた状況が改善され、方向性を見出し、国内にも「水晶石(Crystal CG)」のような代表的企業が次々に出現していることだ。
07年10月、中国共産党第17回全国代表大会において、胡錦涛総書記は10分間にわたって「社会主義文化の大発展・大繁栄」について述べた。これが強いメッセージであるのは疑いなく、文化コンテンツ産業の市場の先行きが明るくなったしるしである。このときまでに北京などの大都市では、コンテンツ産業の発展にプラスとなる政策をすでに政府が数多く打ち出しており、同産業にとっては間違いなく最良の時代となった。
この最良の時代は、同業界企業を直接的に発展させるだけでなく、商品サービスや産業のプラットフォーム、展示会、教育、メディアなど一連のビジネスを含む文化産業全体に飛躍をもたらし、ビジネスチャンスを提供するものだ。
雷海波氏とビジュアル中国
今年まだ34歳の若さの雷海波氏は、中国のビジュアルコンテンツの分野、とりわけデジタルビジュアルアートの分野においては掛け値なく「老人」だ。2000年、同氏は中央民族大学美術学院の中国画専攻課程を卒業し、北京に留まった。そして専門に合った芸術分野を選ばず、のちに中国最大のデジタルコンテンツ産業のポータルサイトとなる「視覚中国」(www.chinavisual.com)を創設した。
中央民族大学に入学する前、彼は無名の電子工業学校でコンピュータを学び初級プログラマーの資格を取得。これがデジタルアートにおける彼の基礎となる。中央民族大学の国画クラスに席を置いてからは、長期間にわたって社会活動に参加したが、なかでも「芸術化生存」(アートから見た“生存”)の一連の活動は社会の関心を集め、彼が国内のメディアから競って報道されるきっかけとなり、このときから彼はクリエイティブな能力を発揮し始めた。
続く数年間、「視覚中国」サイトは急速に成長し、単なるデジタルビジュアルサイトからデザイン、撮影、ファッションの各ウェブサイトを抱え、業界サービス、展覧会、フォーラム、ブログ、デザイン・イラスト・写真素材などを包括した総合的なポータルサイトへと発展した。
|