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負の遺産を乗り越えていくために

清水 由実

南京への旅は気の重い旅だ。

南京は江蘇省の省都で、金陵と呼ばれていた戦国時代(B.C.5~B.C.3世紀)からの長い歴史を有する。三国時代の呉がここに都を置いて以来、幾代もの王朝の都として栄えた町でもある。悠久の歴史を背景にした遺跡が数多くあり、2003年に世界遺産に認定された明の開祖朱元璋の墓・明孝陵を含む景勝区をはじめとして、中山陵景勝区、玄武湖、明代城壁(修復中)、夫子廟(孔子廟)など名所も多い。しかし、日本からの観光ツアーはきわめて少ない。大手旅行社の組む江南周遊ツアーでも、南京を含むパッケージツアーはわずかしかない。わずかにあるものも、ほとんどが1泊して半日観光をしただけで慌しく次の訪問都市へと移動する。南京は世代を問わず多くの日本人にとって気軽に訪れることのできない土地だからだ。この都市へ来るには、ある種の決意が必要だ。見たくない過去の日本の歴史を正視する覚悟がなくては来られない。

1937年の日本軍の南京占領からちょうど70年が経つ12月13日に「侵華日軍南京大屠殺遭難同胞記念館」(「南京大虐殺70周年」コーナー参照)がリニューアルオープンするのに合わせ現地へ行った。

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