もし中国の読者がこの本に対し何か不満を感じるならば、この本は侵略戦争が中国にどれだけ大きな傷と損害を与えたのかということに触れていないからかも知れない。日本が真珠湾を奇襲したことも戦争犯罪の一種であった。この本の中で日本が外国に対して行った残酷な戦争犯罪を記述しているところは非常に少ない。
記者: 一般の日本人は戦争をどう見ているのか?靖国神社は一般の日本人の目の中ではどのような場所なのか?
渡辺恒雄氏:一般の人は、靖国神社は明治維新いらい、国のために戦死した軍人を祭っている場所と思っている。かなりの人たちは、神社には国のために戦死した「英霊」が祭られており、それを参拝して感謝の意を表わすことは当然だと思っている。しかしながら、今の日本人はあの戦争の侵略性、残忍性の側面に対してあまり知らない。私は陸軍2等兵としてあの戦争に参加したことがあり、軍隊の残忍性を知っており、当時、多くの若い軍人が自殺行為を余儀なくされたり、戦闘機を操縦して敵に体当たりしたなどは今日の自爆テロ行為と同じであり、非常に残忍なことであった。
「遊就館は非常に有害な施設の1つであり、あれは閉鎖しなければならない」
記者:日本人には靖国神社を参拝している人もおれば、参拝しない人もいるが、参拝している人の方が多いか、それとも参拝しない人の方が多いか?どれぐらいの政治家が参拝したのか?
渡辺恒雄氏:日本の人口は1億2000-3000万で、毎年500万人が参拝に行ったかも知れないが、1億以上の人が参拝に行ったことはない。与党の自民党内で参拝を固持している政治家は数十人はおり、私はこの人たちの行為に対し怒りを覚えている。この人たちは若い政治家であり、これまでの戦争のことをほとんど知らず、もしこの人たちが戦争のことを知っているならば、こうしたでたらめな事をすることはありえない。日本には「遺族会」(日本の戦死者の遺族の全国的組織――当ネットによる注)という組織が1つあり、ほぼ100万人の会員がおり、この人たちは政府から恩給を給付されており、政府が恩給の給付を確保するとともに、物価の上昇に伴って金額をスライドさせるよう望んでいる。政治家らはこの人たちの選挙によって票を獲得するために靖国神社を参拝しているのである。小泉氏が自民党総裁の座につくための選挙戦の際、しばしば彼らに、もし自分が首相になったら靖国神社を参拝することを約束した。
記者:小泉氏は在任中、自分の参拝は「心」の問題だと語っていたが、あなたはどう思うのか?
渡辺恒雄氏:私は、それは偽善的であり、彼は心から参拝に行きたいと思っているのではなく、そういうパフォーマンスで、戦犯の遺族から得票を増やすためであったと思っている。89歳の中曽根氏は第二次世界大戦の時は海軍少佐であったお方で、彼が首相として参拝した時、私は彼に苦言を呈したことがある。彼はその時、自分は東條英機を参拝に行ったのではなく、戦争の中で戦死した自分の弟のために行ったのだと言った。現在、自分の両親、兄弟のために参拝に行く人はめったにいないかも知れない。確かに、政治家の中でかなりの人は戦争の残忍性、侵略性を知らず、彼らにそれが非常に残忍な戦争であった
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