競争と互恵による共存
対応する顧客層の違いから、銀行カード市場が開放されても、内外の銀行は生き残りをかけた熾烈な競争には直面しないだろう。
郭主任は「短期的に見て、国内銀行はカード業務で先行発行という点で強みがあり、営業期間も長く、発行量も多く、少なからぬ経験を蓄積してきた。IT(情報技術)や設備のレベルも外資に劣るものではない。同時に、外資の現有の営業拠点は少なく、余り大きな影響にはならない」と予測する。
中国工商業銀行・牡丹クレジットカードセンター総裁の李衛平氏も「外資が短期間で国内資本と拮抗するのは難しい。我々には多くの強みがある。第1に、発行量が多いことだ。今年5月現在でクレジットカードは1500万枚に達した。第2に、顧客の強みだ。現在、1億9000万人の顧客を抱えている。第3に、販売ルートの強みだ。拠点は全国に2万近くもあり、ネットによる顧客は2500万人に達している。第4に、比較して言えば、国内資本は当地の顧客の消費習慣をより熟知していることだ」と強調。
だが、国内銀行の自信ある態度については、消費者の認識は異なる。実際、長年にわたってサービスに対する不満が根強く残っている。人民ネットが市区にある大銀行の営業拠点113カ所を実地調査したところ、トイレがあるのはわずか7.1%。また銀行によっては、待ち時間が長い、サービス態度が悪い、また半数以上の銀行で飲料水や雑誌が用意されていない、といった結果が出た。
対外経済貿易大学金融学院の丁志傑教授は「長年にわたり、銀行業は独占という“真空状態”に置かれていたために、多くの欠陥が生まれた。外国銀行の参入で長年来の“真空”は打ち破れるだろう」と指摘する。
さらに丁教授は「外資への開放で双方の競争と協力は促され、一部で摩擦も生ずるだろうが、長期的に見れば、中国の銀行カード市場の発展にはプラスとなる。カード業務では、外資の強みはサービスやブランド、資金の安全性、信用などにあるが、拠点や顧客の多いのが国内資本の最大の強みだ。競争であろうと、協力であろうと、双方向のより高層的な進展にとってプラスとなるのは間違いない」と強調する。
「北京週報日本語版」 2007年7月11日 |