富裕層顧客が外資の目標
中国で発行される銀行カードは世界で最も多い。中国人民銀行が4月18日に公表した「中国の支払いシステム発展報告」によると、デビットカードの発行量は11億枚を超えており、クレジットカードは約5000万枚だ。
だが、カードは十分には利用されていない。報告では、06年の小売総額では現金支払いが80%を占めた。一方、先進国では現金の比率は比較的低く、米国は20%に過ぎない。シティグループ中国地区のチーフエコノミスト・沈明高氏は「これは将来のカード市場の余地が極めて大きいことを意味しており、それが外資の参入する原動力ともなっている」と分析する。
郭主任は「国内銀行に比べ、外国銀行はカード業務で技術や付加価値サービスの面で強みがあるため、業務の拡大を過小評価することはできない」と指摘。
さらに「将来、内外資本銀行のカード業務の競争の重点は、富裕層の顧客に集中するだろう。外資が発行する人民元カードはすべてを網羅することはできないため、営業の重点地区は発達した都市となり、富裕層が対象になる。一般には独自でカードを発行しないだろうから、個人への消費関連の融資や資産運用業務を行うかも知れない。富裕層の顧客獲得では、国内銀行には圧力となるが、当然、それが原動力ともなる」と分析する。
これに対し、沈氏は「外資はカードで明らかに優位であり、とくにクレジットカードの分野では、個人の信用等級評価やリスク回避で極めて抜きん出ている。国内資本にとって影響が比較的大きいのは顧客の面であり、富裕層の顧客が流れ出る可能性がある。外資は顧客に高付加価値のサービスを提供しており、カードの使用料はやや高いものの、富裕層にとってそれは問題ではなく、とくにサービスの質を重視するだろう」と指摘している。
現在、外資の少額口座管理費は国内資本をかなり上回っている。東亜では、特別顧客の1日平均資産額が20万元以下の場合、年間管理費は200元。一般口座では1日平均資産額が5000元以下の場合、月間管理費は10元だ。一方、中国工商銀行では、少額口座の管理基準は、1日平均預金額が300元未満の場合、4半期ごとに3元を徴収している。
沈氏は、国内銀行がまず失う可能性のある顧客は、中国在住の外国人、次いで中国の富裕層だと予想する。
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