しかし、陳氏は「微生物が引き起こす食源性の疾病こそ、中国では最大の食品安全の問題であり、まさに『食中毒』だ」と見る。衛生部もかつて、食物の衛生問題では、食中毒が依然として広く見られ、最も主要な害となっている」との考えを示したことがある。食中毒では、細菌による中毒が絶対多数を占め、98.5%に達している。一方、化学物資や一般的な中毒はそれぞれ0.7%、0.8%に過ぎない。
中国の食品加工企業は大半が小規模で、しかも加工場は全国で700万を数える。その80%以上が10人以下の手作業場だ。技術は遅れ、衛生状態は極めて悪く、20~30%の企業は業界の基準を満たしていない。
対 策
国務院は4月17日、「国家食品薬品安全に関する『第11次5カ年(06~10年)』計画」を公布。同計画は、10年までに食品安全保障システムをほぼ確立すると提起している。そのため、(1)重大な食品安全事故の処理率を100%にする(2)大中都市の卸売市場や大規模取引市場、チェーン形式のスーパーでの生鮮食品の抜き打ち品質検査の安全合格率を95%にする(3)食品安全に関する情報監視面積を90%にする――との具体的目標を打ち出した。
実際、食品安全管理の面で、政府は早くから一連の具体策を打ち出してきた。生産許可や強制的な検査などの措置を通じて、食品の安全を根本的に保証する食品品質安全市場参入制度を確立し、01年から実施した。国家食品薬品品質監督管理局食品監督管理司の鄔建平司長によれば、現在、食品市場参入制度が対象とするのは28種、525品目の食品であり、約9万社が生産許可証を取得している。これらの企業の生産量は市場全体の90%以上を占めるという。
北京市工商行政管理局の12315消費者通報センタ―は、36名の職員を配置して、毎日1600~1700件にのぼる通報を受けている。一般的な通報については、7日営業日以内、行政的違法行為に触れるものについては、同3日以内に初期の調査状況を報告し、同7日以内に処理の進展状況を説明することにしている。
しかし、中国農業科学院農産品加工総合研究所の研究員・孫樹侠氏は「中国はこれほど広いのに、中央政府だけで食品の安全を管理するといっても、どうやって管理できるのか。食品の監視や監督にはその他の機関が関与することが必要であり、大衆の政策と大衆の力があってこそ、問題は解決できる」と強調する。
国家工商業行政管理総局の李東正副局長は取材の中で「食品の安全は総合的な問題であり、政府や企業、消費者の3者がともに努力していく必要がある。消費者について言えば、今は消費についてもっと理性的に深く考えるようにして、食品の安全にも注意を払うことが必要であり、過度に気を張ることはない」と何度も繰り返した。
「北京週報日本語版」 2007年7月6日 |