もちろん、選挙戦の要因を除いて、スーダンの独特な地理学的位置およびその豊富な石油と天然ガス資源はアメリカが主導している全世界のテロ撲滅戦争にとって重要な地政的意義を持つのみならず、「9.11」事件の後のアメリカの多角化した国家エネルギー安全戦略にとっても潜在する戦略と経済の利益を持つものとなった。特に、中国とスーダンが伝統的な友好と密接な政治、経済関係を持っており、ここ10数年らい、さらに成果に富む石油開発協力をくり広げているため、世界のいくつかの中国に対し先入観を抱いている組織と個人は中国をダルフール問題と結び付けることを始め、中国がスーダンに投資し、スーダンの現政府と協力を行うことは、とりもなおさず客観的においてダルフール地域の紛争をあおり立てることであり、中国側はダルフールの人道的危機に責任を負うべきであるとしているなどなどがその論調である。このほど、アメリカの下院議員百数人がまた連名で中国の胡錦涛国家主席に書簡を送り、もし中国がダルフールの混乱状態に対して措置を取ることができないならば、北京五輪にマイナスの影響をもたらすことになろうと警告した。何人かの政客と人権組織は甚だしきに至っては2008年の北京五輪をボイコットすると脅している。スーダンのダルフール地域の空にもうもうと立ち込めている砲煙はこのように人為的に、不思議にも中国と、ひいては非政治化のスポーツ競技と一緒に結び付けられているのである。
ダルフール問題における中国の立場と役割
いくつかの西側のメディアと国際組織の中国に対する非難は主に次の2点に集まっている。1、国連安全保障理事会でダルフール問題を討議する際に制裁手段の使用に反対したこと、2、スーダンの現政府と協力をくり広げ、それに施す圧力が不十分であることがそれである。事実上、少しでも常識のある人はすべて、交渉と対話などの政治と外交の手段を通じて国際と地域の紛争を解決することを主張することが中国の一貫した外交の主張であることを知っているはずである。スーダンのダルフール問題ばかりでなく、それ以上に手を焼く朝鮮とイランの原子力の問題においてもそうである。歴史的経験がすでに何度も立証しているように、制裁は貧困を深刻化させること以外になく、そのうえ貧困は対立を深めさせることになる。制裁による苦しみを深く嘗めるのは当事国の政権ではなく、その国の国民だからである。このほか、スーダンの現政権を孤立させることは問題の解決に役立たないばかりでなく、かえって更に深刻な対立をもたらすことになる。また、ダルフール問題の根源が貧困と立ち遅れにあるため、経済の発展と協力を通じてこそはじめて根本から解決されることができるのである。これにかんがみて、中国は対話と交渉、発展と協力に立脚して紛争を解決することを主張している。
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