鑑真記念堂で墨を吸った筆をとり、「心連心」と揮毫した福田康夫元首相
中国を訪問中の福田康夫元首相は、21日に江蘇省揚州市の大明寺鑑真記念堂を訪れ、「心連心」と揮毫(きごう)し、その書を大明寺に贈った。中国新聞網が伝えた。
同日午後、大明寺は福田康夫元首相一行に「風月同天」としたためられた書を贈った。大明寺住職の能修法師は、この書について、鑑真和上が中国を去る前に弟子達に残した言葉、「山川異域、風月同天、寄諸佛子、共結来縁(山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄る者同士、共に生れ来たる縁を結ばむ)」という詩から取った文字であると解説した。これを聞いた福田元首相は、笑顔を見せながら筆をとり、「心連心」という文字を揮毫した。
記念堂の前に立った福田元首相は、「日中両国は心と心をつなげた関係を築くべきであり、最も大切なのは人の心のつながりだと思う」と語った。
江蘇省揚州市を初めて訪れた福田元首相は、21日から22日に江蘇省揚州市で開催される第9回「日中韓賢人会議(中国名:東北亜名人会)」に出席した。同会議に出席する前に、中国の唐時代の僧である鑑真和上がかつて住職を務めていた揚州市の大明寺を訪れた。
福田元首相は、日本への渡航を5回も挑戦した末、6度目にしてようやく日本に辿り着いた鑑真和上の不屈の精神を、「中日関係に最も深く関わる精神の絆」と形容して次のように語った。
「鑑真和上のことは日本では誰もが知っている。かつて苦難の末に日本に渡って布教活動を行っただけでなく、当時の中国の先進的な文化を日本にもたらした。このような精神は日中関係に最も深く関わる精神の絆だ」。
また、鑑真和上が大明寺の住職だったことから、大明寺は最も訪れたい場所だったという。今回、かねてからの願いが、ついに実現した。
大明寺で34年間火がともされ続けている石灯篭の前で、福田元首相はしばらく足を止めた。能修法師によると、この石灯篭は1980年に奈良・東招提寺の森本孝順長老が自ら持参し、火をともしたものだという。この灯篭と東招提寺にあるもう一つの灯篭は一対であり、世界でたった二つしかないものだ。この一対の灯篭の火がともし続けられていることは、中日両国民の世代を超えた友好が長く消えることはないことを象徴している。
大明寺の鑑真学院には日本を訪れ交流を行った若者がすでに10人もいると聞いた福田元首相は、近くにいた若手記者に「あなた方のような若者は、なるべく日本に行って、自分たちの都市について日本の若者に紹介をするべきだ。そして、日本の友人を作れば、これらの日本人も揚州に来ることになる」と提言した。
21日の夕方、第9回「日中韓賢人会議」に出席する中日韓のゲストが続々と揚州市に到着し、会議は同日夜に行われた。「日中韓賢人会議」は中国の新華通信社、韓国の中央日報社、日本経済新聞社が共同発起して開催している中日韓三カ国の有識者によるフォーラムだ。2006年から、年に一度、三カ国が持ち回りで開催している。会議のメンバーには中日韓三カ国の歴代の指導者や著名な学者、企業家などが含まれている。(編集MZ)
「人民網日本語版」2014年4月22日
鑑真記念堂で墨を吸った筆をとり、「心連心」と揮毫した福田康夫元首相
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