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中国人にとってなじみ深い大島茂役 |
1985年には、宇津井健は「赤い疑惑」で中国のエミー賞と称される第3回「金鷹電視芸術賞」の最優秀外国人男優賞に選ばれた。これ以降、同部門は金鷹賞から姿を消したため、宇津井健は、今でも金鷹賞における唯一の最優秀外国人男優賞受賞者となっている。
宇津井健死去のニュースが流れてほどなく、ネット上に哀悼の声を書き込む中国のネットユーザーや芸能界の著名人らも少なくなかった。多くのネットユーザーが、「宇津井健と『大島茂』は、かつて日本ドラマの普及・啓発を促す存在だった。当時大島茂の良き父親のイメージは、日本のアイドルを知る窓口にもなった」と率直なコメントを投稿している。
当時、大島茂役の普通話アフレコを担当したのは簡肇強氏だった。簡氏はかつてその時の記憶について取材に答えている。1984年に2人が初めて会った時の様子について、簡氏は、「宇津井氏は、まさしく大島茂そのものだった」と語っている。芸術的な感性から意気投合した2人は少なからぬプライベートな話も共有した。簡氏によると、当時「赤い疑惑」を撮影していた頃、宇津井健の夫人もまた白血病に侵されており、撮影時、昼は白血病に侵された娘幸子につきそい、夜は家に戻って実際の妻の看病をしていたのだという。この辛く悲しいエピソードは簡氏の心を深く揺さぶった。
宇津井健が亡くなった後、「『赤い疑惑』の再放送をテレビで見て、当時の宇津井健による素晴らしいシーンを見直したい」と書き込む人も少なくなかった。当時の「赤い疑惑」の台本や製作条件は、現在のドラマとあまりにも違うため、恐らくテレビで再放送することは難しいだろう。ただ、テレビでの再放送は難しいが、「赤い疑惑」のドラマ全編は今でも動画視聴サイトなどで視聴できる。
「人民網日本語版」2013年3月18日