赤い壁の下。トレイ・ラトクリフ(音訳)(米国)撮影。
北京とはいったいどんな都市と言えるのだろう。
3000年以上の建築史と800年以上の建都史を持つこの国際的な大都市は、世界で最も多くの世界文化遺産を持つ都市であると同時に、世界トップ500企業21社の本部があり、その数は世界第2位に達している。シェークスピアが描いたハムレットの様に、北京については1千人の人がいればそれぞれ1千とおりの異なった感想を持つことだろう。米国、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリア、ハンガリー、スイスなどから来た有名なカメラマン10人が2011年、北京のあちこちを歩き回り、その手に持ったカメラで彼らの見た北京を捉えた。この「外国人が写した北京」活動は、北京市人民政府新聞弁公室、北京市人民政府外事弁公室、北京市対外文化交流協会が主催したもので、1999年から毎年1回、世界各地の有名カメラマンを招いて行われている。外来者の視点でこの古くまた現代的でもある都市を見つめ、観賞し、カメラで「鳥の巣」や国家大劇院、首都空港、CBD商圏といった大都市の繁栄と流行を撮影するだけでなく、天壇や正陽門、鼓楼、鐘楼といった中国の伝統的な建築も画面に捉えている。彼らは市井の風景も捉え、この都市に暮らす人々にフォーカスをあてて、心に響く写真を撮影している。こうした建築や人、画面は北京の印象のささやかなかけらかもしれないが、一緒にあわせると、半分が都会で半分が市井という、最も基本的な北京の姿が見えてくる。これこそ北京なのである。
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