取材を受ける清水哲太郎総代表(写真左)、森下洋子理事長(右)と団員たち
中日両国の国交回復40周年を記念する訪中公演の一環として、松山バレエ団は14、15の両日、北京で新「白毛女」を上演する。北京公演を前に、同団の清水哲太郎総代表と森下洋子理事長が団員らと共に北京で記者会見を行った。
河北省の農村に伝わる白毛仙女の伝説は、1945年に陝西省延安市で誕生した歌劇版を皮切りに、映画やバレエ、京劇などに次々と改編された。だが「白毛女」を初めてバレエ化したのが日本の松山バレエ団だということは、あまり知られていない。「白毛女」をきっかけに、松山バレエ団は、中国と半世紀にわたる交流と往来を始め、名実共に「日中友好大使」となった。
新「白毛女」は清水氏が改編・監督、森下氏と清水氏が主演を務める。旧作品と異なるのは、上海バレエ団が改編したバレエ劇「白毛女」の音楽を採用したほか、舞台美術や舞台背景なども一新し、魅力を一層増していることだ。昨年から始まった日本での再公演は、メディアや観客の好評を博しているという。
松山バレエ団が演じる「白毛女」は、1995年の日本初演から人気を集め、劇中に描かれる中国革命の精神に多くの日本人が胸を打たれた。「劇を演じるバレリーナだけでなく、それを目にした観客まで心が洗われた気持ちになる」と清水氏は語る。
「革命という題材は単なる芸術形式でしかない。なぜなら『白毛女』はロマン主義の作品であると同時に、3回の改編を繰り返し、世界的な意義を持つ名作でもあるからだ」と清水氏。現在、バレエ劇「白毛女」は作品を超越したものとなり、劇団も観客数や売り上げを気にせず、世界的な名作を世に残そうと舞台に専念している。また同作品には、「白毛女」を通して日本人に正しい歴史観を持ってほしいとの願いも込められているという。
森下氏は記者の質問に対し、「いかなるときも希望を失ってはならず、『白毛女』の主人公『喜児』のように、つねに希望を胸に生きなければならない。これは中国人特有の精神でもある。同時に日中友好事業の後継者として、私たちの心は誇りと自信に満ちている」と語った。
このほか、清水氏は世界初のバレエ版「白毛女」を創作したいきさつを紹介。1952年、松山バレエ団の創立者、清水正夫氏と松山樹子氏が東京で中国映画「白毛女」を初めて鑑賞した際、感動を覚える同時に、バレエ劇として上演したいという気持ちが芽生えたという。終戦直後で厳しい条件のもと、数々の挫折を経験しながらも、両氏と当時の団員たちは1955年、東京の日比谷公会堂で世界初公演にこぎ着けた。同年、北京を訪れた松山氏は周恩来総理(当時)と面会した際、訪中公演の誘いを受けた。周総理の呼びかけのもと、松山バレエ団は1958年、「白毛女」の中国初公演を成功させた。(編集YT)
「人民網日本語版」2011年10月13日
新「白毛女」に出演するバレリーナたち
「白毛女」を演じるメインキャスト
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