新疆ウイグル自治区は中国の北西部に位置し、「新」と略称され、かつては「西域」と呼ばれ、面積は166万平方㌔で、中国の総面積の6分の1を占め、行政面積の最も大きな省である。北東部はモンゴル、西はロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、南西部はアフガニスタン、パキスタン、インドと接し、国境線は5600㌔もあり、国境線の最も長い省(区)である。
一、 地理と自然の状況
海抜 7435~-155㍍ 、土地 農・林・牧畜業に利用できる土地面積は約6800万㌶で、総面積の41.19%を占め、そのうち開墾可能な土地は933万㌶、すでに開墾された土地は407万8700㌶、利用可能な天然草地は4800万㌶、人工草地は66万6700㌶で、中国の五大牧畜区の一つである。林業用地は483万9300㌶(林地は約153万3300㌶)、林木の蓄積量は2億5000万立方㍍である。
鉱産資源 すでに発見された鉱産物は122種あり、そのうち全国一にランクされているのはベリリウム、白雲母、チリ硝石、チャイナクレイ、蛇紋岩などである。調査で明らかになっている鉄鉱の埋蔵量は7億3000万㌧である。非金属鉱物は70種余りあり、そのうち白雲母、宝石、アスベスト、ホータン玉が国内外で知られている。塩の埋蔵量は3億1800万㌧、硫酸ナトリウムの埋蔵量は1億7000万㌧、チリ硝石の埋蔵量は232万6000㌧である。
エネルギー 自治区全体の地表水の年間流失量は884億立方㍍、地下水の採取可能な量は252億立方㍍、氷河面積は2万4000平方㌔、貯水量は2万5800億立方㍍余りである。日照時間が長く、年平均日照時間は2600~3400時間である。石炭の推定埋蔵量は全国の推定埋蔵総量の37.7%を占め、石油、天然ガスの推定埋蔵量は300億㌧で、全国の推定埋蔵総量の25%を占める。
動物・植物 野生動物は699種あり、そのうち魚類は85種、両生類は7種、爬虫類は45種、哺乳類は137種である。調査で明らかになっている野生植物は4000余種もあり、そのうち特殊な経済的価値があるのはバシクルモンなど1000余種である。
環境状況と問題 2000年末における環境保全部門の数は各クラス環境監視・モニタリングステーションが31カ所に達し、環境監視・モニタリング・スタッフは654人に達している。年間環境汚染整備プロジェクトを198件完成し、そのために2億2000万元を投入した。
環境汚染の急速な悪化が抑制され、自治区の都市環境の質が改善されている。都市の空気の質が3級以上の日数は78.4%に達し、自治区北部都市では都市の空気の質が3級以上である日数は90.8%を上回り、自治区南部は28.9%となっている。自治区の工業廃水処理率は77.2%、工業廃水排出の基準達成率は51.6%で、工業排気ガス処理率は95.6%、工業固体廃棄物総合処理率は53.5%
同自治区はさまざまな自然保護区を23も設置し、そのうち、国家クラス自然保護区4カ所、自然保護区総面積は15万9000平方キロで、同自治区総面積の9.6%を占めている。同自治区は煙塵抑制区を79カ所作り上げ、面積は292.4平方キロ。環境騒音基準達成区は58カ所、面積は193.4平方キロ。
二、人口
総人口統計 約1925万人
人口の伸び率 0.845%(2000年)
平均寿命 新疆は世界の長寿地区であり、全国第3回国勢調査によると、中国は百歳の老人が3765人おり、新疆には865人もおり、ホータン地区は国際自然医学会に世界長寿区に選ばれた。
民族の分布と人口の比率 少数民族の人口は1096万4900人で、総人口の59.39%を占め、漢族は749万7700人である。主な民族はウイグル族、漢族、カザフ族、回族、蒙古族、キルギス族、タジク族、シボ族、ウズベク族、満州族、ダオール族、タタール族、ロシア族など13の民族である。
教育レベル 同自治区の人口の中で、大学教育(高等専門学校以上を指す) を受けたものは5.14%を占め、94万9100人となり、高校教育 (中等専門学校を含む) を受けたものは12.09%を占め、223万1900人、初級中学教育を受けたものは27.53%を占め、508万2500人、小学校教育を受けたものは37.95%を占め、700万6600人となっている。自治区の人口の中で、非識字者人数は102万6400人で、1990年に行った第4次全国国勢調査に比べて、総人口に占める非識字者率は13.07%から5.56%に下がり、7.51ポイント下がった。
三、経済
第1次産業としては、小麦、綿花、テンサイ、ブドウ、ハミウリ、ヒツジ、イリ馬などが主要な生産物となっている。特にこの地域で生産される新疆綿といわれる綿は、エジプト綿(ギザ綿)、スーピマ綿と並んで世界三大高級コットンと呼ばれ、繊維が長く、光沢があり高級品とされており、日米欧に輸出され高級シャツ、高級シーツなどに利用される。
石油と天然ガスの埋蔵量が豊富で、これまでに38カ所の油田、天然ガス田が発見されている。新疆の油田としては塔里木(タリム)油田、準葛爾(ジュンガル)油田、吐哈(トゥハ)油田が3大油田とされ、独山子(トゥーシャンツー)、烏魯木斉(ウルムチ)、克拉瑪依(クラマイ)、庫車(クチャ)、塔里木の5大精油工場で原油精製も行われている。石油とガス開発以外にも、今日の新疆では鉄鋼、化学、機械、毛織物、皮革工業が発達しており、主要な工業地域として烏魯木斉、克拉瑪依、石河子(シーホーツ)、伊寧(イーニン)、喀什(カシュガル)が挙げられる。
支柱産業 鋼鉄、石油、石炭、電力、非鉄金属、機械、化学工業、皮革、紡績、製糖。
2005年発表の政府工作報告によれば、新疆の2004年の全省生産総額(GDP)は、対前年比11.4%増の2,203億人民元である。また同年の外資導入額は2億米ドルとされている。
四、通信
ラジオ・テレビ局 ラジオ放送局は6、中短波放送と中継放送局は38、テレビ局は18、千キロワットのテレビ放送と中継放送局は61である。
電話 自治区の各地区、自治州、自治県はすでに長距離児童電話網に組み込まれ、ユーラシアおよび南北疆通信光ファイバーが開通された。
五、交通事情
【鉄道】 蘭新鉄道は甘粛省蘭州市からユーラシアランドブリッジ中国区間のアラ峠までで、総延長2000㌔余り、中国の東部と西部をつなぐ幹線鉄道であり、新疆から内陸各地に通じる唯一のルートでもある。蘭州=ウルムチ鉄道複線がすでに開通し、南疆鉄道のクルロからカシュガルまでの重点工事の建設が急がれている。北疆鉄道のウースウ=アラ峠区間、南疆鉄道の西へ延びる工事は資金24億元が投下され、1998年12月29日までにレールがシガル駅まで敷設され、全線にはすでにレールが826.9㌔も敷設され、計画を101㌔も上回った。クルロ=アクスゥ区間は1998年12月1日に臨時運営を始めた。1998年、ウルムチ鉄道局は貨物発送量2914万2000㌧を完成し、前年より3.9%伸びた。
自動車道路 自治区の各地方、自治州、自治県と99%の自治郷はすでに自動車道路が開通し、ウルムチを中枢とし、7本の国道幹線を骨組とし、東は甘粛、青海とつながり、南はチベットと接し、西はアジア中部諸国に通じる62本の幹線からなる自動車道路交通網が出来上がっている。1998年までに幹線開通距離は3万2701㌔となった。
【水運】 イリ川、オルチス川は季節によって汽船とはしけの航路がある。
【航空】 新疆は空港がもっとも多く、航空ルートの最も長い省(区)である。ウルムチ空港は中国から西アジアとヨーロッパに通じるルートであり、中国の6大空港の一つでもある。ウルムチからは内陸の蘭州、西安、北京、上海に通じ、自治区内のハミ、クルロ、クチェ、ホータン、カシュガル、アクスゥ、イーニン、カラマイ、フーユン、アロタイに到着することができる。ウルムチ空港の拡充工事が現在進行中にある。1998年、新疆航空公司は運輸量2億9877万3400㌧、旅客輸送量134万600人、 貨物輸送量2億6862万4000㌧を完成した。
北京週報資料 |