(二)断固として憲法と香港基本法の権威を守る
憲法と香港基本法はともに香港特別行政区の憲制の基礎を構成している。憲法は国家の根本的法律として、香港特別行政区を含む中華人民共和国の領土範囲内で最高の法的地位と最高の法的効力をそなえている。香港基本法は憲法に基づいて制定されたもので、香港特別行政区の制度を定めた基本的法律であり、香港特別行政区での憲制的法律の地位をそなえている。香港特別行政区の制度と政策はいずれも香港基本法の規定を根拠とする。香港特別行政区の立法機関が制定するいかなる法律も、みな香港基本法と抵触してはならない。香港特別行政区の行政、立法、司法行為はすべて香港基本法に合致しなければならない。香港特別行政区の個人およびすべての組織・団体は必ず香港基本法を活動の準則としなければならない。同時に、香港基本法は全国的法律として、全国的範囲で適用される。
香港基本法の諸規定を全面的に把握し、全体として理解しなければならない。香港基本法のすべての規定は香港特別行政区制度の有機的な構成部分であり、各条文間は孤立しておらず、互いに関連しており、香港基本法の一つ一つの条文は必ず全体的な規定の中に置いて理解し、香港特別行政区制度の体系の中に置いて把握しなければならない。香港基本法施行の実践が物語るように、香港基本法の具体的条文を孤立して理解し、一つの方面を強調してもう一つの方面を見落とすなら、紛らわしい解釈ないしは認識上の偏向が生じ、香港基本法の施行は深刻な打撃をこうむるだろう。香港基本法の各項の規定を全面的に理解すれば、特別行政区制度の各構成部分が互いに組み合わさって有機的な全体を構成し、香港住民の基本的権利と自由、香港の繁栄・安定を保障する役割を果たしていることが見てとれるはずである。
全国人民代表大会および同常務委員会の香港基本法に対する改正権と解釈権を尊重し、擁護しなければならない。香港基本法は、香港基本法の解釈権は全国人民代表大会常務委員会に属し、改正権は全国人民代表大会に属すると定めている。香港基本法は同時に次のように定めている。香港特別行政区の裁判所は案件を審理するにあたって、基本法における香港特別行政区の自治範囲内の条項について解釈することができ、またその他の条項についても解釈できる。このような解釈権は全国人民代表大会常務委員会の授権によるものである。もし香港特別行政区の裁判所が案件を審理するさいに、香港基本法の中央政府の管理する事務または中央と香港特別行政区との関係に関する条項について解釈する必要があり、また当該条項の解釈が案件の判決に影響する場合、当該案件に対し上訴できない最終判決を行う前に、香港特別行政区終審裁判所は全国人民代表大会常務委員会に関係条項について解釈するよう要請しなければならない。全国人民代表大会常務委員会が解釈を加えた条項を香港特別行政区の裁判所が引用する場合、全国人民代表大会常務委員会の解釈に準拠しなければならない。これは香港特別行政区の法的地位と一致している。全国人民代表大会常務委員会が法に基づいて基本法の解釈権を行使することは「一国二制度」と香港の法治を守るための当然の道理であり、特別行政区が基本法を実行することに対する監督であるだけでなく、また特別行政区が高度な自治を実行することに対する保障でもある。
香港基本法の施行にかかわる制度や仕組みを整備することは、香港基本法の権威をよりよく維持するのに役立つ。香港基本法の施行以来、それにかかわる一連の制度や仕組みがすでに成立し、整備されてきた。たとえば、行政長官の選出方法および立法会の選出方法の変更の面では、行政長官が全国人民代表大会常務委員会に報告を提出し、全国人民代表大会常務委員会が決定を下し、立法会が採択し、行政長官が同意し、全国人民代表大会常務委員会が承認あるいは受理するという「5ステップ」の法的手続きを確立した。基本法の解釈の面では、全国人民代表大会常務委員会は自発的に法律を解釈し、行政長官は国務院に報告を提出し、かつ国務院から全国人民代表大会常務委員会に法律の解釈を仰ぎ、特別行政区終審裁判所から全国人民代表大会常務委員会に法律の解釈を仰ぐ、などの関連手続きと作業の仕組みが確立した。特別行政区の立法の面では、全国人民代表大会常務委員会が特別行政区の法律について受理する作業手順を明確にした。特別行政区と大陸部の司法協力の面では、民事・商事の司法文書を互いに送達し、仲裁の裁決や一部の民事・商事の判決を互いに認可、執行するなどの一連の処置について合意した。行政長官が中央政府に責任を負う面では、行政長官が中央に施政報告を行う制度を確立した。
「一国二制度」の実践がたえず前進するのにつれて、香港基本法の施行はますます深まり、香港基本法の施行にかかわる制度や仕組みも必然的にさらに完全なものとなることが求められている。特に、香港の長期にわたる安定維持を考慮し、香港基本法に定められた中央に属する権力をきちんと行使し、中央と香港特別行政区の関係をしっかりと法制化、規範化の軌道に乗せて運行させることが必要である。
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