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「一国二制度」の香港特別行政区における実践

 

五、「一国二制度」の方針・政策を全面的かつ正確に理解すること

「一国二制度」は画期的な事業であり、中央にとっては国政運営の重要な課題であり、香港と香港同胞にとっては重要な歴史的転換である。香港特別行政区の各事業が全面的な進展をとげると同時に、「一国二制度」の香港での実践も新たな状況と新たな問題にぶつかっている。香港社会の一部の人たちはまだこの重要な歴史的転換に適応できず、とくに「一国二制度」の方針・政策と基本法に対してあいまいな認識や一面的な理解しかもっていない。現在、香港で見られる経済社会や政治制度発展の問題におけるいくつかの正しくない観点は、みなそれと関係がある。ゆえに、「一国二制度」の香港特別行政区での実践を引き続き推進するには、国家の主権、安全、発展の利益を守り、香港の長期にわたる繁栄と安定を維持するという根本的な宗旨から出発し、「一国二制度」の方針・政策を全面的かつ正確に理解し貫徹しなければならず、一つの国という原則の堅持と二つの制度の相違の尊重、中央の権力の維持と特別行政区の高度な自治権の保障、祖国大陸部の強固な後ろ盾の効果を発揮することと香港自らの競争力を高めること、これらを有機的に結びつけ、いかなる時でも一方をおろそかにしてはならないのである。

(一)「一国二制度」の含む意味を全面的かつ正確に把握する

「一国二制度」は一つのまとまりをもった概念である。「一国」とは、中華人民共和国の中で香港特別行政区は国の不可分の一部分であり、中央人民政府の直轄下にある地方行政区域であるということを指す。中華人民共和国は単一制度の国家であり、中央政府は香港特別行政区を含むすべての地方行政区域に対して全面的な統治権をもっている。香港特別行政区の高度な自治権は固有のものではなく、その唯一の源は中央政府からの授権である。香港特別行政区が享有する高度な自治権は完全な自治ではなく、また分権でもなく、中央が授与する地方事務の管理権である。高度な自治権の限度は、中央がどれだけの権力を授与するかによって決まり、香港特別行政区はそれに応じた権力を享有することになり、いわゆる「余剰権力」は存在しない。同時に、憲法は国家の根本的制度が社会主義制度であることを明確に定め、また国家の基本的制度、指導的核心、指導思想などの制度と原則も定めている。「一国」の原則を堅持するにあたって最も根本的なのは、国の主権、安全、発展の利益を守り、国家が実行する根本的制度およびその他の制度と原則を尊重することである。

「二制度」は、「一国」の中で国家の主体は社会主義制度を実行し、香港など一部の区域は資本主義制度を実行することを指す。ゆえに、「一国」は「二制度」を実行する前提と基礎であり、「二制度」は「一国」に従属しそこから派生するとともに、「一国」の中に統一されている。「一国」の中の「二制度」は決して同じウェイトではなく、国家の主体は必ず社会主義制度を実行しなければならず、これは今後とも変わらない。この前提のもとで、実際から出発し、香港などの一部の区域の歴史と現実の状況を十分に考慮して、それらの区域が長期にわたり資本主義制度を維持することを認める。したがって、国家主体が社会主義制度を堅持することは、香港が資本主義を実行し、繁栄と安定を保つための前提と保障である。香港が従来の資本主義制度を引き続き保ち、香港基本法に基づいて「香港人による香港の管理」と高度な自治を実行するには、必ず「一国」の原則を堅持するという前提のもとに、国家主体が実行する社会主義制度を十分に尊重し、特に国家が実行する政治体制およびその他の制度と原則を尊重しなければならない。大陸部は社会主義制度を堅持すると同時に、香港が実行する資本主義制度を尊重し包容しなければならず、また香港の経済発展や社会管理などの面での成功経験を参照することもできる。「一つの国」の中に「二つの制度」がある以上、互いに尊重し合い、互いに参照し合うのでなければ、長期にわたって調和的に共存し、ともに発展することはできない。

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