(一)2014年度財政・租税改革の重点
財政は国家統治の土台であり、重要な支えでもある。今後2年間の税財制改革をしっかりとおこなうことは、党の第18期3中総で定められた諸般の改革目標を全面的に実現するうえで極めて重要である。党中央、国務院は予算管理制度と税制改革を本年度の税財制改革の重点とすることを決定したが、われわれはこの改革において好スタートを切れるよう努めなければならない。
(1)予算管理制度の改革を深化させる。①政府と各部門の予算・決算の公開を掘り下げて進める。政府予算・決算の開示内容を細分化し、政府支出の予算・決算は全てを科目区分の項レベルに、特別移転支出予算は具体的な項目に細分化する。部門別予算・決算の公開範囲を広げ、中央と地方の財政配分を受けるすべての部門は、機密に関わる部門を除いて、部門別の予算・決算を公開するものとする。部門別の予算・決算の開示内容を細分化し、項レベルの支出の公開を除いて、部門別予算・決算の基本支出と項目支出も逐次公開していき、科目別による部門別決算の歳出予算目の公開を検討する。「三公」経費の公開度を高め、開示内容を細分化し、財政より配分されたすべての「三公」経費は公開するものとする。②中期財政計画管理を実行に移す。国家中長期発展計画とマクロコントロールの必要に応じて中期財政政策を策定し、3ヵ年財政計画の作成を検討するほか、計画期間中の一部の重大改革、重要政策、重要プロジェクトの政策目標や運営の仕組み、評価方法を検討するとともに、当年度予算に対する制約を強化し、財政政策の総合性・予見性・持続可能性を高める。③年度予算への規制を改善する。予算審査の重点を収支の均衡状態、赤字の規模から支出予算、政策へと広げ、支出予算への制約を強化する。予算の執行中は、原則として支出増加政策を新たに打ち出さない。歳入予算の目標数値については、拘束性をもつものから所期性をもつものに切り替え、法律に基づいた税の徴収・管理を推し進める。④予算の繰越制度を確立する。中央財政予算は政策の必要性に応じて赤字を増やすことができ、政策調整が施された後、年度ごとに補填する。予算の執行において、収入超過となった場合は、原則として赤字の補填に充てるか、予算安定化基金に繰り入れる。支出超過となった場合は、予算安定化基金からの繰り入れ、支出の削減または赤字の増加で収支のバランスを保つ。赤字額の増加については、全国人民代表大会で採択された国債限度額以内での国債の発行を通じてまかなうものとする。⑤財政・租税優遇政策の全面的整理、規範化をはかり、法律の権威と公平な競争環境を守る。整理対象となる政策は次のようなものである。各級政府による各地域への租税優遇や所得税の全額免除、還付増加といった政策。企業にかかる税・費用の減免、徴収後還付、財政補助、土地・国有資産を低価格で譲渡する政策。個人にかかる税・費用の減免、徴収後還付、財政補助などの政策、である。特に、法律や行政法規に違反する政策は廃止する必要がある。租税優遇政策は租税関連の法律・法規によって統一的に規定するものとし、各種の発展計画に財政・租税優遇政策を別途盛り込んではならない。⑥位置づけがはっきりとしており、役割分担が明確な政府予算体系を確立する。公共財政予算、政府系基金予算、国有資本経営予算、社会保険基金予算の支出範囲と重点を明確化し、統一的調整を強化し、重複部分がないよう努める。統一的に運用すべき政府系基金の資金を公共財政予算に繰り入れる仕組みを確立する。国有資本経営予算資金の公共財政予算への繰り入れ度をさらに高める。社会保険基金の予算管理を強化し、基金残高の価値保全と増大に取り組み、収支均衡をベースにした社会保険基金予算の持続可能性を検討する。⑦発生主義に基づく政府総合財務報告制度をいち早く確立する。政府総合財務報告制度の改革案、制度・規範、実施マニュアルを検討、作成し、地方政府による総合財務報告の試験的編成を引き続き指導する。財政総予算会計制度を改め、一部の事項については発生主義を取り入れ、政府総合財務報告の編成をおこなう上での基礎的データや情報を提供する。
(2)税制改革を推し進める。①引き続き営業税から付加価値税への切り替え改革を推進し、鉄道運輸業と郵政サービス業における営業税から付加価値税への試験的な切り替えを全国範囲で行い、電気通信業も改革の対象とする政策が今年の4月1日から実施されるよう策定を急ぐ。②企業年金・職業年金制度の発展を促す個人所得税課税繰延優遇政策を実施する。③石炭資源税の従価課税の改革をおこなう。④薄利タイプの小規模企業への租税優遇政策をさらに拡大する。⑤消費税制度の改革、充実化をはかり、消費税の適用枠や手続き、税率を調整する。⑥不動産税関連の立法作業を加速させる。⑦環境保護税関連の立法作業を早く進める。
それと同時に、中央と地方の権限と支出責任については、早急に検討、調整し、政府機能の転換、政府と市場の境界の合理的な確定を踏まえて、各級政府間の権限と支出責任を合理的に分け、中央の権限と支出責任を適度に強化する。また、既存の中央と地方の財政力構造が全般的に安定した状態を維持し、それを税制改革と結びつけ、税目の性質を考慮したうえで、中央と地方の収入の区分をさらに合理化する。養老、医薬・医療衛生、教育、科学技術、住宅など関連分野の改革をともに鋭意推進する。
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