物価の水準について。消費者物価の上昇率を3.5%前後に抑えるのは、昨年度の物価上昇のキャリーオーバー効果と今年度の新たな物価押し上げ要素を考慮した結果であり、インフレの抑制と民生の保障に向けたわれわれの決心と自信をも示している。わが国は、農業の生産量が年々増え続けており、工業製品の供給が全般的に需要を上回り、食糧などの物資の備蓄が充足し、輸出入の調節の能力が比較的高いなど、物価総水準の基本的安定を保つのに有利な条件が多く備わっている。ただし、今年度は物価押し上げ要素が比較的多いので、油断することなく、物価のコントロールにしっかりと取り組み、大衆の生活に大きな影響が出てしまうのを確実に防ぎ止めなければならない。
今年度の経済・社会発展の目標と任務を達成するには、以下の原則と政策の方向性をしっかりと押さえなければならない。
(一)改革の深化に向けた原動力を手に入れる。改革は最大の「紅利」(ボーナス)である。現在、改革はすでに難関突破期と「深水区」に差しかかっているため、人民大衆にしっかりと依拠し、必要なことを躊躇せずに実行する決心と、背水の陣を敷いて一戦を交える気概をもって、思想・意識の束縛を打ち破り、凝り固まった既得権益の垣根を突き破り、経済体制改革の牽引で各分野の改革を全面的に深めていかなければならない。大衆が最も望んでいる分野から改革に着手し、経済・社会発展の妨げとなっている最も際立った問題から改革に着手し、社会の各界が共通認識を形成できる部分から改革に着手して、資源配分において市場に決定的な役割を発揮させつつ政府の機能もよりよく発揮し、構造調整につながる改革を積極的に推し進め、市場の主体の活力と生産要素の最適配分の妨げとなっている障害を取り除いて、社会全体の潜在的創造力を存分に解き放ち、公平・正義を大いに発揚し、全人民が改革と発展の成果を共有するようにしなければならない。
(二)経済の動きを合理的な範囲内に保つ。マクロコントロール政策の枠組みを充実させ、安定成長と雇用確保の下限、インフレ防止の上限をしっかりと守り、積極的な財政政策と穏健な金融政策を引き続き実施していく。今年度の財政赤字は、昨年度より1500億元増やして、1兆3500億元――内訳は中央財政赤字9500億元、地方債代理発行額4000億元――計上する。財政赤字と国債の規模は経済規模の拡大に伴っていくらか増えるが、財政赤字の対GDP比は2.1%で安定する。これは財政政策の連続性の反映である。金融政策は緩和と引き締めを適切な度合いに保ち、社会の総需給の基本的均衡を促し、安定したマネー・金融環境をつくり出すものでなければならない。マクロ・プルーデンス管理を強化して、マネーサプライや銀行貸出、社会融資の規模が適度に増大するよう誘導する。今年度の広義マネーサプライ(M2)の増加率の所期目標は13%前後とする。財政・金融政策と産業・投資政策などとの整合性を強化し、政策備蓄(先を見越していろいろな政策案を用意しておくこと)をしっかりと行い、適度な事前調整や微調整を適時行って、中国経済という大きな船が間違いなくいつまでも安定した航海を続けられるようにしなければならない。
(三)質・効率・レベルの向上に力を入れ、民生の持続的な改善をはかる。われわれが目指している発展は、質・効率を向上させ、パターン転換・レベルアップを推し進め、人々の生活を改善する発展である。安定成長をはかりながら、発展が、主に生産要素の投入に頼るものからもっと革新の推進力に頼るものに切り替わり、主に従来の比較優位に頼るものからもっと総合的な競争優位を発揮するものに切り替わり、産業の国際分業におけるロー・ミドルエンドからミドル・ハイエンドにレベルアップし、都市・農村間、地域間の不均衡から均衡・調和に大きく移行するよう促していかなければならない。指導幹部の業績に対する考課・評価体系を整え、各方面の積極性がパターン転換と構造調整の加速、科学的発展の実現に向けられるようしっかりとリードし、雇用と住民所得を絶えず増やし、生態環境を絶えず改善して、経済・社会発展をより効率的、より公平、より持続可能なものにする。
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