海外利益を守る
中国の経済が徐々に世界の経済システムにとけ込むにつれ、海外利益はいまや中国の国家利益の重要な構成部分となっている。海外におけるエネルギー資源、戦略的な海上通路および海外の公民と法人の安全にかかわる課題は日増しに顕在化している。海上の船舶護衛、海外公民の引き揚げ、緊急救援などの海外行動は、人民解放軍が国の利益を守り国際義務を履行するうえでの重要な方式となっている。
国連安全保障理事会の関連決議に基づき、またソマリア暫定連邦政府の同意を得て、2008年12月26日、中国政府は海軍艦艇編隊をアデン湾、ソマリア沖へ派遣して船舶護衛を行った。主な任務は、当該海域を経由する中国の船舶や人びとの安全を確保すること、人道支援物資を輸送する国連世界食糧計画(WFP)などの国際機関の船舶の安全を確保すること、またできるだけ当該海域を経由する外国船舶の安全航行を援護すること、である。2012年12月現在までに、派遣は計13回、艦艇延べ34隻、ヘリコプター28機、特殊作戦隊員910人に及び、中国と外国の船舶532件4984隻の航行護衛任務を完遂した。そのうち、中国大陸は1510隻、香港地区は940隻、台湾地区は74隻、澳門地区は1隻であった。海賊に乗っ取られた中国の船舶2隻、海賊に追いかけられ攻撃された中国の船舶22隻を救出した。
2011年2月、リビア情勢が急激に悪化し、リビアにおける中国資本の機関や企業、人員が重大な安全上の脅威に直面した。中国政府は新中国成立以来最大規模の海外公民引き揚げ行動を実施し、合計3万5860人を引き揚げさせた。人民解放軍は、艦艇や航空機を派遣してリビア在留人員の帰国に協力した。アデン湾、ソマリア沖で護衛任務を遂行する海軍の「徐州」号ミサイル護衛艦は、リビア付近の海域へ赴き、危険な状態にある中国人の引き揚げ用船舶を支援し、保護した。空軍は航空機4機を緊急出動させ、延べ40回の飛行で、危険な状態にあった人々1655人(うちネパール人240人)をリビアからスーダンへ移動させ、287人をスーダンから帰国させた。
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