(六)未成年被疑者、被告人の権益保障を強化する
中国は罪を犯した未成年者に対して懲戒と保護をともに重視する措置をとり、非行未成年者の社会復帰を進めることに最大限の努力をしている。中国の立法機関は、罪を犯した未成年者に教育、感化、救済の方針を実行することを明確にしており、教育を主とし、懲罰を従とする原則を堅持している。司法機関が未成年者刑事案件を処理する際には、未成年者の心身の特徴にくわしい司法関係者が担当する。未成年の被疑者、被告人は、委託弁護人がいない場合、司法機関が法律援助機構に通知し、弁護士を派遣し弁護させるべきである。罪を犯した未成年者に対しては逮捕適用措置を厳格に制限しなければならない。人民検察院が逮捕を審査批准し、人民法院が逮捕を決定し、未成年被疑者、被告人を尋問する際は、弁護士の意見を聴取するべきである。拘束、逮捕、刑罰を執行される未成年者と成人はそれぞれ別に勾留し、別に管理、教育する。未成年者の刑事案件に対する尋問、裁判の時、未成年被疑者、被告人の法定代理人に通知して同席させるべきであり、また他の成人親族、在籍する学校、職場、居住地の末端組織あるいは未成年者保護組織の代表に通知して同席してもらうこともできる。同席する法定代理人あるいはその他の関係者は、案件担当者の尋問、裁判、聞き取り時に未成年者の合法的権益が侵害されたと認めたなら、その同席者は意見を提出できる。尋問記録、法廷審理記録は同席した法定代理人や他の関係者に目を通させるか、あるいは読み上げられるべきである。女性未成年者の被疑者に尋問する際は、女性職員が出席すべきである。犯罪の情状が軽微で、懲役1年以下の判決の可能性が高く、かつ反省の態度が見られる未成年者に対しては、人民検察院は条件付き不起訴の決定を下すことができる。司法機関は未成年被疑者、被告人の成長経歴、犯罪原因、後見教育などの状況に対して調査を行い、またそれを案件処理の参考とする。裁判時に被告人が満18歳未満の案件は、公開審理をしない。犯罪時に満18歳未満で、懲役5年以下の判決を受けたものは、犯罪記録密封保存制度を実行し、司法機関が案件処理に必要な場合か、あるいは関係部門が国の規定に基づき照会する以外、いかなる部門や個人にも提供してはならない。2011年に公布された『刑法改正案(八)』は未成年者に刑の執行猶予を適用する条件を明確にし、未成年者の犯罪は一般累犯を構成しないと規定した。2011年7月現在、全国にはすでに2331の少年法廷が設立されている。2002~2011年、各方面の努力により、中国の未成年者の再犯率は1~2%に抑制された。近年、未成年者犯罪事件は低下の趨勢にあり、全犯罪者に占める未成年犯罪者の比率は徐々に減少している。
表2 2009~2011年人民法院の判決を受けた未成年犯罪者の状況
年度 |
判決を受けた未成年犯罪者の数 |
前年比減少率(%) |
全犯罪者に占める未成年犯罪者の比率(%) |
2009 |
77,604 |
12.69 |
7.78 |
2010 |
68,193 |
12.13 |
6.77 |
2011 |
67,280 |
1.33 |
6.40 |
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