世界第一のエネルギー生産国として、中国は主に自らの力によってエネルギーを発展させ、エネルギー自給率は終始 90%前後を維持している。中国のエネルギーの発展は国内の経済・社会の発展を保障するだけでなく、世界のエネルギー安全保障の上でも大きな貢献をしている。今後しばらくは、中国は依然として工業化、都市化の加速発展段階にあり、エネルギー需要は引き続き増加するため、エネルギー安定供給の任務はいっそう困難さを増すであろう。
――資源の制約による矛盾が際立っている。中国の一人あたりエネルギー資源保有量は世界で比較的低いレベルにあり、石炭、石油、天然ガスの一人あたり保有量は、世界の平均レベルのそれぞれ67%、5.4%、7.5%である。近年来、中国のエネルギー消費の伸びはかなり速いが、目下一人あたりのエネルギー消費レベルはまだかなり低く、先進国の平均レベルのわずか3分の1にすぎない。経済・社会の発展および人々の生活レベルの向上に伴い、将来のエネルギー消費は大幅に増加し、資源の制約はたえず深刻化していくに違いない。
――エネルギー効率の向上が待たれる。中国の産業構造は合理的でなく、経済発展パターンも改善が待たれる。中国の単位国内総生産(GDP)あたりエネルギー消費量は先進国よりはるかに高いのみならず、一部の新興工業化国を上回っている。エネルギー集約型産業の技術が立ち後れ、第二次産業、特にエネルギー高消費産業のエネルギー消費量の比率が高く、鉄鋼、非鉄金属、化学工業、建材の4大エネルギー高消費業種のエネルギー消費は、社会全体のエネルギー消費量の約40%を占めている。エネルギー効率が相対的に低く、単位付加価値あたりのエネルギー消費量がかなり高い。
――環境負荷がたえず増大している。化石エネルギー、特に石炭の大規模な開発と利用は、生態環境に大きな影響をもたらした。多くの耕地が占用され破壊され、水資源の汚染がひどく、二酸化炭素、二酸化硫黄、窒素酸化物や有害な重金属が大量に排出され、オゾンおよび微小粒子状物質(PM2.5)などの汚染が深刻化している。将来かなりの長期間にわたり、化石エネルギーは依然中国のエネルギー構造の中で中心的な地位を占めるため、生態環境の保護、気候変動への対応などのプレッシャーが日増しに大きくなっており、グリーンエネルギーへの転換が差し迫った課題となっている。
――エネルギー安全保障は厳しい情勢にある。近年来エネルギーの対外依存度は急速に上昇しており、特に石油の対外依存度は今世紀初めの32%から現在の57%に上昇した。石油の海上輸送リスクは増加しており、国境を跨ぐ石油・天然ガスパイプラインの安全運行問題も無視できない。国際エネルギー市場の価格変動は、国内のエネルギー安定供給の難度を高めている。エネルギーの備蓄規模がかなり小さく、緊急対応能力に比較的劣り、エネルギー安全保障は厳しい情勢にある。
――体制・しくみの改革を急がなければならない。エネルギー体制・しくみの深層レベルでの矛盾はたえず蓄積されており、価格メカニズムはまだ不十分で、業界管理は依然手薄であり、エネルギーの普遍的サービスレベルの向上が急務である。体制・しくみによる制約はエネルギーの科学的発展を促進するうえで大きな障害となっている。
中国のエネルギーの発展が直面しているこれらの問題は、国際的なエネルギー競争の勢力構造、中国の生産力レベルおよびその置かれた発展段階によって決定づけられたものであり、また産業構造とエネルギー構造の不合理、エネルギーの粗放な開発利用方式、関連する体制・しくみの改革の後れと密接な関係がある。中国は、エネルギーの生産・利用方式の変革を強く推し進め、政策システムをたえず改善し、エネルギーと経済、社会、生態との全面的にバランスのとれた、持続可能な発展を実現するよう努めていく。
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