インターネットは政府の情報公開を促している。1990年代半ば頃、中国政府は「電子政府プロジェクト」を全面的に始動させた。2009年末現在、中国で、すでに開通している政府ポータルサイトは4万5000にのぼり、75の中央機関と国家機関、32の省クラスの政府、333の地区クラスの政府と80%以上の県クラスの政府は、電子政府ウェブサイトを構築しており、仕事や生活など各方面においてオンラインサービスを提供している。中国の電子政務の建設は、各クラスの政府の業務効率を上げ、政務公開のレベルを効果的に高めている。2008年に公布、施行された『中華人民共和国政府情報公開条例』第15条では、「行政機関は政府情報を自発的に公開し、政府公報、政府関係ウェブサイト、記者会見及び新聞・雑誌、ラジオ放送、テレビなどの民衆が知りやすい方式をとって公開するべきである」と定められている。中央政府は各クラスの政府が相応の制度を制定し、民衆が注目している問題に対して、時を移さずに解答を出すよう求めている。各クラスの政府は、スポークスマン制度を充実させており、インターネットを含む各種メディアを通じて、権威性のある情報を迅速に開示し、民衆に政策の執行状況などの関連情報を開示し、また、自然災害や公共衛生、社会の突発的な事件などの処置状況を紹介する。インターネットは、民衆の、情報を知りたいというニーズを満たすツールとして、その存在感を増している。
インターネットは、人びとが社会生活を送る上での重要なツールとなっている。サンプリング調査によると、2009年、中国では約2億3000万人が検索エンジンを頻繁に使用して各種情報を検索しており、約2億4000万人が通信ツールを通してコミュニケーションを取っている。また、約4600万人がインターネットを利用して学習または、教育を受けており、約3500万人がインターネットで証券取引を行い、約1500万人がインターネットを利用して職業を探し、約1400万人がインターネットを通じて旅行の手配をしている。中国では、ますます多くの人が、インターネットを通じて、情報または多彩な知識を取得し、起業することで自己の理想実現を果たし、インターネット上でのコミュニケーションによって相互関係を深める、ということを行っている。四川汶川大地震、青海玉樹地震、西南地区における干ばつ災害などの重大な自然災害が発生した際にも、中国のネットユーザーは、インターネットを駆使し、救援情報を発信し、救助活動を行い、被災者に対しての同情心や関心などの心意気を示した。これもまた、インターネットが必要不可欠であることを表している。インターネットは、一種の新しい仕事や生活スタイルになっている。
中国政府は、社会経済発展の促進、公共サービスレベルの向上、人々の仕事や生活面へのインターネット利用の利便性に有利に働くことを奨励し、構造が合理的、かつバランスのとれたインターネット応用枠組みを構築するよう努力し、インターネット全般の発展と応用レベルを向上させている。また、中国政府は、電子商取引や教育などのウェブサイト発展を大いに促し、電子政務の構築を積極的に推進している。また、人びとの多様化、多層化する情報消費のニーズを満たすために、ネット放送、ネットテレビなどの新興メディアの発展をサポートし、多様な形式と内容に富んだインターネット情報サービスを提唱し、提供している。
|