二、広範囲にわたるインターネット応用の促進

インターネットは中国の経済と社会の発展を促進してきた。経済分野において、インターネットの伝統的な産業への浸透は加速し、産業の境界がますます曖昧になり、新たなビジネスモデルやサービス経済が急速に勃興し、そこから新しい業態が派生してきた。インターネットは、経済構造の調整を促進させ、経済の発展方式などの転換といった面で、ますます重要な役割を果たしている。また、インターネットは、次第に人々の生活、仕事、学習面に、必要不可欠なツールとなりつつあり、社会生活などにおいての影響力が高まってきている。

インターネットは、中国の経済発展を推し進めるための重要な牽引役となっており、インターネットを含める情報技術と産業は、中国の急速な経済成長に対し、重要な貢献をしている。16年の歳月を経て、中国の情報産業の増加額は年平均で26.6％以上増え、国内総生産（GDP）における比率は１％未満から約10％にまで増加した。インターネットと実体経済は絶えず融合しており、インターネットを通じて、伝統的な産業を改造し、それらをグレードアップさせることは、伝統的な産業の構造調整と経済発展パターンの転換を促したといえる。また中国における産業デザインの研究開発の情報化、生産設備のデジタル化、生産プロセスのインテリジェント化や経営管理のネットワーク化の水準が急速に上がっている。インターネットの発展と運用は、新興産業の発展をも促進することとなり、工業コンサルティング、ソフトサービス、アウトソーシングサービスなどの工業サービスを振興させている。自主的イノベーションと省エネ、消耗削減を加速し、また排出ガス削減、環境汚染の対応などの点において、情報技術の担う働きは日増しに大きくなっており、インターネットはすでに、中国の低炭素型経済の発展において、新しい戦略的な産業となっている。2008年、中国のインターネット産業の規模は、6500億元にのぼり、その中でインターネット製造業の売上額は5000億元近くに達する。これは国内総生産（GDP）の60分の１にあたり、世界のインターネット製造業の売上額の10分の１を占める。ソフトウェアー運営サービス市場の規模は、198億4000万元にのぼり、2007年より26％増えた。

中国の電子商取引は急速に発展している。現在、大型企業の電子商取引はオンラインでの情報配布・仕入れ・販売などの基本的な応用から、次第に上流、下流企業間のオンラインでの設計・製造・企画管理など、全方位コラボレーションの方向へと発展している。中小企業における電子商取引の応用の意識も高まってきており、電子商取引を応用している中小企業数は、急速に増えている。また、ネット小売業の規模も急速に拡大しており、市場は次第に規範化されてきている。調査によれば、電子商取引システムを取り入れている大手企業は50％を超しており、インターネット検索を通じて供給業者を探す中小企業は30％を超え、インターネットによるセールスに携わる中小企業は24％にのぼり、ネットショッピング人口は１億人以上に達している。2009年度の中国の電子商取引の取引額は3兆6000億元を超えた。現在、電子商取引に特化したサービスシステムが形成されており、デジタル検証、電子決済、物流配送など、電子ビジネスの応用を支えるシステム形成が進んでいる。

インターネットは文化産業の発展をも促している。ネットゲーム、ネットアニメ・マンガ、ネット音楽、ネット映像などの産業が次々と台頭し始め、中国文化産業の総合力を高めている。過去5年間で、中国のネット広告市場は始終、年平均30％増というスピードを保っており、2009年度の市場規模は200億元を超した。2009年、中国のネットゲーム市場の規模は258億元であり、2008年の同期比39.5％増で、世界でもトップクラスである。中国のネット文学、ネット音楽、ネット放送、ネットテレビなどは急速な発展傾向にある。拡大しているネット文化消費は、新しい産業を生み出し、同時に直接的な通信業務収入の増加をもたらした。2010年3月の時点で、中国において、すでに各種経営モデルを持っているインターネット関連の上場企業は30社余りあり、それぞれ、アメリカや香港、中国大陸部で上場を果たしている。インターネット文化産業は、すでに中国の文化産業を担う重要な構成部分となっている。中国政府は、優れた民族文化をネット化し、それを広めるということを大々的に推し進めている。また、一連の文化資源の共同利用プロジェクトを実施し、全国のオンラインデータベースの総数はすでに30万を超え、一定規模の文化情報リソースベースが形成されつつあり、人びとの多様化する精神文化のニーズに十分応えている。