また、法に依拠して、インターネット犯罪を取り締まる。近年来、中国のインターネット犯罪は増加する傾向にあり、以前から起こっているような犯罪とインターネット犯罪が合わさるという趨勢が著しく目立ってきており、インターネットによる詐欺、インターネット窃盗など、他人の財産を侵害する犯罪が急速に増えている。また、コンピューターウィルスの作成と伝播、コンピューターやネットワークへの不正侵入と攻撃などの犯罪もますます増加している。そのほかに、インターネットを利用して、ポルノや賭博を流通させるなどの犯罪行為も突出した問題となっている。統計によれば、1998年に公安機関が受理した各種のインターネット犯罪事件は142件であったが、2007年には2万9000件に増え、2008年には3万5000件、2009年には4万8000件となった。インターネット犯罪を効果的に取り締まるため、中国の法律は、インターネットを利用した犯罪とインターネットに対する犯罪に関しては、『中華人民共和国刑法』の関連規定に基づき、刑事責任を追及する。また、犯罪として成立していない場合でも、『中華人民共和国治安管理処罰法』『コンピューター情報ネットワーク国際連接ネットワーク安全保護管理弁法』などの法律・法規に基づいて、行政的処罰を課する、と規定している。
また、ハッカーによる、いかなる形式のサイバー攻撃にも反対する。中国は世界諸国と同じく、ハッカーの攻撃やインターネットウィルスの侵入などの違法な犯罪行為の脅威に直面している。中国は、世界の中で、ハッカーからの攻撃によって多大な被害をこうむっている国の1つである。不完全な統計ではあるが、2009年、中国が国外からの制御されたコンピューターIPアドレスは100万以上にのぼり、ハッカーによって改ざんされたサイトは4万2000件に達している。また、「コンフィッカー(Confiker)」と呼ばれるワームに感染したコンピューターは毎月1800万台にものぼり、世界における感染被害のホストコンピューター総数の30%を占めるといわれている。中国の法律は、ハッカーによるいかなる形のサイバー攻撃行為も禁止している。『全国人民代表大会常務委員会のインターネットセキュリティー保護に関する決定』では、「故意にコンピューターウィルスなどの破壊的プログラムを制作、伝播し、コンピューターシステム及び通信ネットワークを攻撃し、それらに損害を与える」などのセキュリティー破壊行為を行い、犯罪と見なされた場合は、刑法の関連規定に基づき、刑事責任を追及する、と明確に規定している。『中華人民共和国刑法』第285条、286条では、コンピューターシステム内に保存・処理・或いは伝送されたデーターを違法に入手したり、システムに不正アクセスし制御するためのプログラムやツールを提供する、などの違法行為に対する刑事罰を具体的に定めている。
各国の国情や文化的伝統は異なっており、インターネットの安全性への関心の度合いにも差がある。各国はインターネットの安全性に対する互いに異なる関心を尊重し、違いの中にも調和を求め、交流する中で発展を促し、協力してインターネットの安全性を守るべきであろう。
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