四、漢方薬と民族薬の監督管理

漢方薬と民族薬は中国の医薬科学において特色のあり、優位を占めるもので、中華民族のすぐれた文化の重要な構成部分となっている。現在、国の認可を経て市場に出回っている中成薬は計9000余種類で、約5万8000の許可文書番号を持っている。2007年に漢方薬産業の生産総額は1772億元に達し、製薬工業総生産額の26.53％を占めた。中国政府は予防・保健・医療における漢方薬の役割を重要視しており、一連の行政法規・政策を制定し、漢方薬の監督管理を健全にし、漢方薬の品質が着実にレベルアップするよう力を入れている。

国家漢方薬標準体系はたえず整備されている。現行の漢方薬に関する国家標準は7014に達している。そのうち、『中華人民共和国薬典』（2005年版）には漢方生薬、漢方カット生薬、植物油脂、抽出物が582種類、中成薬が564種類収載されている。衛生部と国家食品薬品監督管理局の標準による漢方生薬、漢方カット生薬438種類、中成薬4690種類、民族生薬308種類、民族生薬製剤432種類が収載されている。漢方注射剤の安全性と有効性を確保し、効果的な品質管理方法の確立をはかるため、国は漢方注射剤の標準化に取り組んでおり、2000年に「製造許可を受けた漢方注射剤の品質標準の向上と完備および指紋図譜活動」をスタートさせ、『漢方注射剤指紋図譜研究技術要求』を公布した。現在、国は市場に流通する123種類の漢方注射剤の安全性と品質管理方法や指標を全般的に向上させており、漢方注射剤の製造は原材料としての生薬生産地との供給関係を確定化することを促進し、原料生薬、中間体、完成品の品質を厳格に監督管理し、製造・加工の全プロセスに対する品質管理を行っている。

漢方薬品種保護制度を実施している。1992年に国は『漢方薬品種保護条例』を公布し、実施しており、臨床的に有効な漢方薬品種の研究開発を奨励し、品質が安定して確実な治療効果がある漢方薬品種を格付けして保護した。漢方薬品種保護制度の実施によって、漢方薬全体のレベルを向上させ、科学技術の進歩を推進し、漢方薬製造の集約化を推し進めるようになった。2007年末現在、2469の国家漢方薬保護品種が相次いで発表された。

漢方生薬管理を強化している。漢方生薬は漢方カット生薬と中成薬の品質に直接影響するものである。国は総合的措置を講じて漢方生薬管理を強化し、漢方薬の種子と遺伝資源を保護し、最適種を選び出してよい環境でそれを育て、漢方薬の種子資源研究に力を入れ、根源から漢方薬の品質を高めている。現在、漢方薬のデータバンクと種子資源バンクを一応構築しており、絶滅危惧種の漢方薬資源の保護・研究に取り組み、サイの角、虎骨など絶滅に瀕する珍しく貴重な動物を漢方薬に使うことを全面禁止し、天然麝香、天然牛黄（ごおう）などの珍しく貴重な漢方薬資源の使用範囲を制限し、絶滅危惧種漢方薬資源の代替品の研究に力を入れている。漢方カット生薬と中成薬の主要な原料生薬の人工栽培をすでに実現し、栽培を規範化し、生薬産業化を段階的に発展させている。2002年に国は『漢方生薬生産品質管理規範（試行）』（漢方生薬GAPと略）を公布し、実施しており、現在、漢方生薬GAP認証を全国的に試行している。医薬品監督管理部門は認証を申請した企業に対し現場検査を行い、2007年末現在、48社の企業が漢方生薬GAP認証を取得している。

漢方カット生薬の製造標準を向上させている。漢方カット生薬の加工処理は漢方薬製造において特色のあるプロセスであり、地域的な相違性がある。漢方カット生薬の品質標準は『中華人民共和国薬典』、『全国漢方生薬加工処理規範』と地方の漢方生薬加工処理標準に従っている。2004年から、国は漢方カット生薬の現代化を進めるため、漢方カット生薬GMP認証を推進した。2007年末現在、漢方カット生薬GMP認証をとった企業は343社に達した。2008年1月1日から、すべての漢方カット生薬製造企業がGMPに適合した条件下で製造を行わなければならないことになった。