四、小康社会の全面的な建設という目標の実現に向けての新たな要請
われわれは、すでに小康社会を全面的に建設するという中国共産党第十六回全国代表大会で確立された目標に向けて確実な一歩を踏み出しているが、今後とも引き続き奮闘努力し、二〇二〇年までに小康社会を全面的に築き上げる奮闘目標の達成を確保しなければならない。
われわれは、国内外の情勢の新たな変化に即し、より良い生活を求める各民族人民の新しい期待に応え、経済・社会発展の趨勢と法則をとらえ、中国の特色のある社会主義経済の建設、政治の建設、文化の建設、社会の建設の基本目標および基本政策からなる基本綱領を堅持しなければならず、小康社会を全面的に築き上げるという中国共産党第十六回全国代表大会で確立された目標をふまえ、わが国の発展に対して新たな、より高い要求を提起しなければならない。
――発展の協調性を増強し、立派で急速な経済成長の達成に努める。発展パターンの転換でかなり大きな進展をとげ、構造の最適化、効率の向上、エネルギー消費の削減と環境の保護をふまえて、二〇二〇年までに一人当たりのGDPが二〇〇〇年に比べ四倍増になる目標を実現させる。社会主義の市場経済体制がさらに充実化することになる。自主的創造革新能力が著しく増強し、経済成長への科学技術進歩の貢献度が大幅に上昇し、創造革新型国家への仲間入りを果たすことになる。住民消費率が着実に伸び、消費、投資、輸出にともに牽引される成長の枠組みが構築される。都市農村、また地域間の調和のとれた相互促進を目指す発展メカニズム及び主体機能区の配置がほぼ確立される。社会主義新農村の建設の面で大きな進展をとげるようになる。都市部人口のウエートが目に見えて増加するようになる。
――社会主義民主を拡大し、人民の権益と社会の公平・正義をよりよく確保する。公民の政治参加が秩序整然と拡大されるようになる。法によって国を治める基本的な方略が深層部まで徹底し、全社会の法意識がいっそう深まり、法治政府の建設で新しい成果が見られるようになる。末端部の民主制度がさらに充実される。政府の基本的公共サービス提供の能力がいちじるしく増強される。
――文化の建設を強化し、全民族の文明的資質の著しい向上をはかる。社会主義の中核的価値体系を人々の心に根着かせ、良好な思想モラルの気風をさらに発揚する。全社会をカバーする公共文化サービスシステムがほぼ確立され、国民経済に占める文化産業のウエートが目に見えて上昇し、国際競争力が著しく強化され、人民の需要に適した文化製品がより豊かになる。
――社会事業の発展を速め、人民の生活の全面的な改善に力を入れる。現代的な国民教育システムがさらに充実され、生涯教育システムがほぼ構築され、全国民の教育水準および革新型人材の養成水準が著しく向上する。社会における就業がより十分なものとなる。都市農村住民をカバーする社会保障システムがほぼ構築され、誰もが基本的生活保障を享有するようになる。所得分配の合理的で秩序整然とした枠組みが基本的に形成され、中所得者が多数を占め、絶対的な貧困がほぼ消滅することになる。だれもが基本医療衛生サービスを享有することになる。社会管理システムがより健全なものとなる。
――エコ文明を建設し、省エネ・省資源で生態環境にやさしい産業構造と成長パターン、消費モデルを基本的に形成させる。循環型経済がかなり大きな規模をもつに至り、再生可能エネルギーのウエートが顕著に引き上げられる。主要汚染物質の排出は効果的に抑制され、生態環境の質は明らかに改善される。エコ文明の意識が社会全体に定着するようになる。
小康社会を全面的に建設するという目標が実現する二〇二〇年になると、長い歴史を持つ古い文明国、かつ発展途上の社会主義大国と言われるわが国は、工業化がほぼ達成し、総合国力が著しく強化され、国内市場の全般的規模が世界の上位に並ぶ国、人民の富裕度が普遍的に向上し、生活の質が目に見えて改善し、生態環境が望しい国、また人民がより十分な民主的権利を享有し、より高い文明的資質と精神面での追求を有する国となり、さらに諸般の制度がいっそう充実し、社会が活力にあふれる一方、安定して強い結束力をもつ国、対外開放がいっそう拡大し、世界の人々に非常に親近感をもたれ、人類の文明により大きな貢献をする国となろう。
今後の五年間は、小康社会を全面的に建設するための肝要な時期である。われわれは強い信念をもって、一心不乱に仕事に取り組み、十数億人が恩恵に浴する水準のより高い小康社会を全面的に築き上げるために、よりいっそう強固な基礎をうち固めなければならない。
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