第33条 商業銀行は預金の元金及び利息の支払いを保証するものとし、預金の元金及び利息の支払いを引き延ばし、または拒否してはならない。
第4章 貸付けその他の業務の基本規則
第34条 商業銀行は国民経済・社会発展の必要に基づき、国の産業政策の指導のもとで貸付け業務を行う。
第35条 商業銀行の貸付けは、借入金の使途、返済能力、返済方法などの状況を厳格に審査するものとする。
商業銀行の貸付けは、審査と貸付けの分離、分級審査・承認の制度をとるものとする。
第36条 商業銀行の貸付けでは、借入者は担保を提供するものとする。商業銀行は保証人の返済能力、担保物、質物の権利関係及び価値並びに抵当権、質権の実行可能性を厳格に審査しなければならない。
商業銀行の審査、評価を経て、借入者の信用状態がよく、借入金を返済できることが確認されたときには、担保を提供しないことができる。
第37条 商業銀行の貸付けは、借入者と書面契約を結ぶものとする。契約には貸付けの種類、借入金の使途、金額、利率、返済期間、返済方式、違約責任その他双方が必要と認める事項を定めるものとする。
第38条 商業銀行は中国人民銀行が定めた貸出金利の上下限に従って、貸出金利を決めるものとする。
第39条 商業銀行の貸付けでは、次の各号に掲げる資産負債比率管理の規定を遵守するものとする。
1 自己資金比率は8%を下回ってはならない。
2 貸出残高と預金残高の比率は75%を超えてはならない。
3 流動資産残高と流動負債残高の25%を下回ってはならない。
4 同一借入者に対する貸出残高と商業銀行の資本残高との比率は10%を超えてはならない。
5 資産負債比率管理に関する中国人民銀行のその他の規定。
本法の施行前に設立された商業銀行の資産負債比率が前項の規定に適合しないときには、一定期間内に前項の規定に適合させるものとする。具体的規則[弁法]は国務院が定める。
第40条 商業銀行は関係者に信用貸付けをしてはならない。また他の借入者の貸付けよりよい条件で関係者に担保付貸付けをしてはならない。
前項で関係者とは、次の者をいう。
1 商業銀行の董事、監事、管理者、融資担当者とその近親者。
2 前号に掲げる者が出資し、または高級管理職についている公司、企業その他の経済組織。
第41条 いかなる単位及び個人も商業銀行に貸付けまたは保証を強要してはならない。商業銀行はあらゆる単位及び個人による貸付けまたは保証の強要を拒否する権利を有する。
国務院が認可した特定の貸付け項目については、国有独資商業銀行が貸付けを行うものとする。貸付けによる損失は国務院がこれを補う措置をとるものとする。
第42条 借入者は期限通り借入金の元金及び利息を支払うものとする。
借入者が期限が来ても担保付貸付けを返済しないときは、商業銀行は法により、保証人に貸付金の元金及び利息の支払いを請求し、または当該担保物について優先的に弁済を受ける権利を有する。商業銀行が抵当権、質権の行使によって得た不動産または株式は、取得の日から1年以内に処分するものとする。
借入者は期限が来ても信用貸付けを返済しないときには、契約の定めに従って責任を負うものとする。
第43条 商業銀行は中華人民共和国内で信託投資及び証券取扱業務に従事してはならず、自用に供する以外の不動産に投資してはならない。商業銀行は中華人民共和国国内で、銀行以外の金融機関及び企業に投資してはならない。本法施行以前に、商業銀行が銀行以外の金融機関及び企業に投資した場合は、国務院が別段実施方法を定める。
第44条 手形引受、為替、委託代金取立などの決済業務を行う商業銀行は、所定の期限通り決済し、受払い・記帳するものとし、伝票、手形を押え、または規定に違反して手形を戻してはならない。引受け、受払い・記帳の期限に関する規定は公表するものとする。
第45条 商業銀行が金融債を発行し、または海外で借入れをするときは、法律、行政法規の規定により認可を受けるものとする。
第46条 コール取引は、中国人民銀行が定めた期限を守るものとする。コール取引の期限は最長4カ月を超えてはならない。コールマネーを使って固定資産貸付けをし、またはコールマネーを投資に充てることを禁止する。
コールローンは、預金準備金を預け、支払準備金を残し及び中国人民銀行の期限の来た借入金を返済した後の遊休資金に限られる。コールマネーは手形及び為替交換じりの決済並びに臨時運転資金に充てる。
第47条 商業銀行は規定に反して利率を引上げまたは引下げ並びにその他の不正手段を使って預金を受け入れ、貸付けをしてはならない。
第48条 企業・事業単位は自主的に一つの商業銀行の営業場所を選んで、日常の振替決済及び現金受払いを行う一つの基本勘定口座を開くことができる。二つ以上の基本勘定口座を開いてはならない。
いかなる単位及び個人も個人名義の口座を開いて単位の資金を預け入れてはならない。
第49条 商業銀行の営業時間は、顧客の利便を図るようにし、これを公告するものとする。商業銀行は公告した営業時間に営業するものとし、任意に営業を停止し、または営業時間を短縮してはならない。
第50条 商業銀行は業務を扱い、サービスを提供するとき、規定に従って手数料を徴収する。
第51条 商業銀行は国の関係規定に従って、財務会計諸表、業務契約その他の資料を保存するものとする。
第52条 商業銀行の職員は法律、行政法規及びその他の業務管理諸規定を遵守するものとし、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1 職務上の立場を利用して、賄賂を要求、収受し、または国の規定に違反して各種名目のリベート、コミッションを受け取ること。
2 職務上の立場を利用して、自行または顧客の資金を横領、流用、侵奪すること。
3 規定に違反し、私情にとらわれて親族、友人に貸付けまたは保証をすること。
4 他の経済組織で兼職すること。
5 法律、行政法規及び業務管理規定に違反するその他の行為。
第53条 商業銀行の職員は在職中に知った国家秘密、商業秘密を漏らしてはならない。
第5章 財務会計
第54条 商業銀行は法律及び国の統一的会計制度並びに中国人民銀行の関係規定によって、自行の財務、会計制度を確立するものとする。
第55条 商業銀行は国の関係規定に従って、業務活動及び財務状態を正しく記録し、かつ全面的に表示し、年度財務会計報告を作成し、中国人民銀行及び財政部門に会計諸表を遅滞なく提出するものとする。商業銀行は法定の会計帳簿以外に、会計帳簿を設けてはならない。
第56条 商業銀行は毎会計年度終了後3カ月以内に、中国人民銀行の規定に従って、前年度の営業成績及び会計検査報告を公表するものとする。
第57条 商業銀行は国の関係規定に従って、貸倒準備金を積み立て、貸倒を償却するものとする。
第58条 商業銀行の会計年度は新暦1月1日から12月31日までとする。
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