当面、中国人民はいくらかゆとりのある社会を全面的につくり上げる目標を実現するために奮闘している。最近、中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議は2006年から2010年までの中国経済社会発展の主要な任務を打ち出したが、そのうち、経済発展の主要な目標は、構造を最適化させ、効率を高め、消耗を減らす基礎の上で、2010年の一人あたり国内総生産(GDP)を2000年より倍増させ、資源利用率を著しく高め、2010年の単位当たり国内総生産のエネルギー消耗を2005年より20%前後減少することである。この目標を実現するため、中国は人を本とすることと全面的、協調的、持続可能な、科学的発展観を堅持して、経済建設、政治建設、文化建設、社会建設の全面的発展を推し進める。中国は主に自身の力に頼って発展をはかると同時に、対外開放を堅持し、国際経済技術協力を幅広く行い、世界各国と人類文明の成果を分かち合い、他国の利益を尊重、配慮し、各国と共に協力の中に現れた相違と問題を解決し、互恵互利と共同発展の実現に努め、国際的義務と承諾を忠実に守り、国際システムと国際事務に積極的に参与し、建設的な促進的役割を果たすように努め、平和共存五原則を踏まえて各国と平等に共存しあい、各国との友好関係を積極的に推し進めている。
二、自らの発展で世界の平和と発展を促進
平和は発展の基であり、発展は平和の本である。長年来、中国政府と中国人民は平和な国際環境をつくり出すためにたゆまぬ努力を傾け、平和を愛好し、進歩を求める世界の諸国と人民が共同で奮闘して得た平和な国際環境を非常に大切にし、精神を集中して建設を進め、一心に発展をはかり、自身の発展を通じて、世界の平和と発展のためにたえず積極的な素因を付け加え、人類の文明と進歩事業の発展を促進している。
中国の発展は平和な国際環境を必要とする。1978年以来、中国は平和な国際環境の中で自らを発展させ、国内総生産は3624億元(その年の人民元対ドルの年平均為替レートで換算すれば約2153億ドル)から2004年の15兆9878億元(その年の人民元対ドルの年平均為替レートで換算すれば約1兆9317億ドル)に増加し、不変価格で計算すれば年平均伸び率は9%を超え、一人あたりの国内総生産は300ドル足らずから1400ドル余りに増加した。中国の政治文明建設は新しい進展を見せ、国家の民主制度は絶えず健全になり、公民の自由と権利は法によって保護、保障され、人民は法によって民主的選挙、民主的決定、民主的管理、民主的監督などの権利を行使している。中国では憲法を核心とする法体系が初歩的に形成され、法によって国を治めるという基本的方策は徹底的に実行されている。中国の教育、科学技術、文化、医療衛生、スポーツなどの事業は速やかに発展し、人民の日増しに増大する精神文化需要は絶えず満たされている。中国の調和のとれた社会の建設が強化され、国は社会の公平と正義の保護と実現、全社会の創造活力の向上、社会の建設と管理の強化、社会安定の維持、人と自然との調和の実現に力を入れている。
中国の発展は世界の発展の重要な構成部分であり、中国は自らの発展で世界の平和を促進し、人類社会の発展と進歩に貢献している。
中国は人類の持続可能な発展の実現に貢献している。中国はこれまでの発展の経験をまとめ、人類の現代文明の発展成果を参考にし、科学的発展観を導きとして発展観念を転換し、発展のパターンを革新し、発展の質を高めている。長年来、中国は科学技術を多く使用し、経済的効果がよく、資源消耗が少なく、環境をあまり汚染せず、人力資源の強みを十分に生かす新しいタイプの工業化の道を模索することを堅持し、社会全体に生産が発展し、生活が豊かで、生態のよい持続可能な文明的発展の道を歩ませるように力を入れている。中国は人口政策を成功裏に実行して、世界総人口の増加を遅らせた。中国はエネルギーの節約を非常に重視し、各種の省エネ措置をとっており、1980年から2000年までの国内総生産(GDP)が4倍増したのに対し、エネルギーの年間消費量は倍増しただけであった。中国が環境保全を強化したため、20余年来、火力発電設備が大幅に増加した情況の下で、煙塵の排出総量は基本的に1980年時のレベルに押さえられている。2004年、中国のGDP一万元あたりのエネルギー消耗は1990年より45%減少した。中国は中・長期省エネ計画を公布し、その目標は2020年までに年平均エネルギーを3%節約し、標準炭に換算して累計14億トン節約するように努力することである。
中国は人類の貧困を減らし、生命の質を高めることに貢献している。中国は世界の10%足らずの耕地で世界の22%近くを占める人口の食事問題を解決し、世の中の奇跡をつくり出した。13億の中国人民の生活はたえず改善され、中国政府は2億2000万の人口を貧困から脱却させ、2205万の都市人口に最低生活保障を与え、6000余万の身体障害者に援助を提供した。現在、一人当たりの予期寿命は新中国成立前の35歳から71.95歳に延び、中等先進国のレベルに達している。
中国は世界平和を擁護し、国際協力を促進することに貢献している。中国は平和共存五原則を踏まえて世界各国と友好協力関係を発展させ、国家間の平和共存と平等な付き合いを促進した。中国は隣国と仲良く付き合い、隣国をパートナーとする善隣友好の方針を堅持しており、そのため、周辺諸国およびアジアのその他の国との友好協力関係が絶えず発展し、共通利益がたえず拡大している。中国は主要な大国と形式の異なる協力関係を樹立し、対話、交流、協力を絶えず強化している。中国は絶えず広大な発展途上国との協力を強化し、南南協力という枠骨組みの下で、優位の相互補完と共同発展の実現に努めている。中国は国際と地域のホットな問題の処理に積極的に参与し、広範な国際義務を引き受けると同時に、責任を負う建設的な役割を果たしている。
中国は世界の経済発展促進に貢献している。ここ数年来、世界経済の変動の幅が大きくなった情況の下で、中国の経済は安定かつわりに速い発展を保ち、世界経済の成長に希望と原動力をもたらした。世界銀行の公布したデータが顕示しているように、2000年から2004年の世界経済成長に対する中国経済成長の平均貢献率は13%である。2004年、世界経済はここ30年来の最も速い成長をとげたが、中国経済は9.5%成長して、世界経済成長を推進する重要な力となった。2004年、中国の輸出入総額は3年前より倍増して1兆1548億ドルに達し、輸入総額は3年前より倍増して5614億ドルに達した。2004年末現在、外資の実際利用額は累計7453億ドル、認可した外国投資企業は50余万社に達した。
中国は周辺地域の安定と発展に貢献している。中国と境界を接するかあるいは海を隔てて向かい合うアジアの国が20余カ国ある。中国の経済が持続的に発展し、社会が調和、安定し、人民が安らかに暮らすことは、周辺諸国に利益を受けさせている。1999年から2004年のアジア太平洋地域の経済はずっと6%以上の伸び率を保った。周辺諸国を安定した環境の中で絶えず発展させるため、1997年のアジア金融危機の中で、中国は幾重もの困難を克服して、人民元為替レートの安定と内需拡大の方針を堅持するとともに、被害国にできるかぎりの援助を提供して、最終的に危機に打ち勝つ役割を果たした。2003年、突然発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)を前に、中国政府は断固とした措置をとり、周辺諸国と助け合って、効果的に疫病の蔓延を抑制した。2004年末、インド洋地震の津波災難の発生後、中国政府と人民は被害国の救助と再建にすかさず心からの援助を提供し、新中国成立以来最大規模の対外救援行動を展開した。2005年10月、南アジアに地震が発生したあと、中国は被災地域の人民に積極的な援助を提供した。
世界の注目を集める建設成果をあげたにもかかわらず、中国は依然として世界最大の発展途上国であり、直面している発展の任務はなおも非常にきわめて困難で重いものである。世界銀行の最新統計および中国の公布した最新のデータで計算すれば、2004年の中国の経済規模は全体としてアメリカの16.6%しかなく、一人あたりの国内総生産はアメリカの3.6%、日本の4%しかなく、世界の208カ国と地域の中で129番目にランクされている。中国の農村では2004年に貧困ライン以下の人口は2610万人、毎年解決する必要のある都市と農村の就業人口はおよそ2400万人おり、そのほか1億余りの農村労働力が就業のために移転している。中国は中等先進国の経済発展レベルに達し、全人民の共同の裕福を実現するには、なおも長期にわたって刻苦奮闘しなければならない。たゆまずに努力を傾け、平和な国際環境をつくって自らを発展させ、同時に自らの発展で世界の平和と発展を促進することは、中国にとっても世界にとってもきわめて重要な意義がある。
三、自らの力と改革・革新に頼って発展を実現
中国は科学的発展観で国内発展と対外開放を統一して計画的に按配し、発展の立脚点を自国の実情に置き、同時に全方位、広領域、多次元の対外開放を堅持し、バランスのより取れた発展の実現に努力している。
中国の直面している発展問題は主として発達しない経済と人々の日増しに増大する物質的文化的需要との矛盾、経済・社会の発展と人口、資源、環境のプレッシャーがわりに大きいこととの矛盾に現われている。歴史的経験が示しているように、中国の発展問題を解決するには、根本から中国自身に頼らなければならない。これは中国人民に責任を負うことであり、世界人民に責任を負うことでもあり、中国が平和的発展の道を歩むのを保障する重要な原則である。中国は問題と矛盾を他国に転嫁することをしないし、まして他国を略奪することで自らを発展させるようなことをなおさらしない。
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